1997 Fiscal Year Annual Research Report
連続性概念による言語モデルの再構築-ドイツ語研究の諸相から-
Project/Area Number |
08451101
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
佐藤 俊一 北海道大学, 言語文化部, 助教授 (10091456)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
室井 禎之 早稲田大学, 政治経済学部, 助教授 (60182143)
清水 誠 北海道大学, 文学部, 助教授 (40162713)
橋本 聡 北海道大学, 言語文化部, 助教授 (40198677)
江口 豊 北海道大学, 言語文化部, 助教授 (70203627)
植木 迪子 北海道大学, 文学部, 教授 (60000618)
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Keywords | カテゴリー化 / プロトタイプ / 他動性 / 言語の標準化 / フリジア語 / 連想ネットワーク / 構造的ダイナミズム / 結束性 |
Research Abstract |
人間の言語を動物の言語から区別するものは分節性・離散性という特性であり、我々は連続的な外部世界を任意に切り取っている。しかし、分節という概念には二つの面がある。一つは区別することであり、離散性に関係し、一つはまとめるということであり、連続性に関係する。更に、連続性という概念はカテゴリー化という基本的な認知活動に関与している。我々は、知覚し、経験した事物を個々別々に認知しているわけではなく、一般性を抽出したり、類似性に基づくなどしてグループにまとめるという認知活動をしている。このような活動がカテゴリー化であり、概念形成や言語による意味づけと不可分の関係がある。また、同じカテゴリーにまとめられた成員はすべてが対等であるわけではない。典型的と思われるもの(プロトタイプ)から、その所属が疑われるものまで帰属度に差が見られ、内部構造も不均一であり、カテゴリー間の境界も明確なわけではない。このような基本認識を基に、次のような問題を研究してきた。 談話資料の分析による「ヘッジ」表現の出現と機能の調査・研究; 他動性が接続表現にも影響を及ぼしていることの確認、受動文についてのコーパス分析による動作主概念の連続性の研究; 音韻の変化から語彙レベル、形態の変化から語彙・文体レベルヘと、言語レベルを超えて連鎖する言語変化に関する研究; 他の西ゲルマン語、ドイツ語、オランダ語、英語との比較による西フリジア語の文法構造の研究; 移動動詞の意味的内部構造と相互の競合関係の分析による、連続性概念の理論的位置づけ、意味作用の主要な原理としての離散性の再評価に関する研究; 連続的な音声実体に促したアプローチと考えられる非線型音韻論による、語境界における閉鎖音融合の分析; カテゴリーとしての話法詞の統語関連性および意味的連続性、推量を表わす話法詞の確信度の調査・研究; テクスト・談話を一つのまとまりとして、そのまとまりを保証する統語的結束構造、意味的結束性に関する研究。
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Research Products
(15 results)
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[Publications] 佐藤俊一: "動物の「ことば」と人間のことば" 『ことばについて考える』北海道大学言語文化部研究報告叢書. 26(印刷中). (1998)
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[Publications] 植木迪子: "Fragen und Gruzen" Hayakawa,T. et al.(Hrsg.):Sprache,Literatur und Kommunikation imkulturellen Wandel. 227-236 (1997)
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[Publications] 江口 豊: "Zu lassen-Konstruktion im Zeitungsdeutsch." 北海道大学言語文化部紀要. 32. 151-170 (1997)
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[Publications] 江口 豊: "Zur Verwendung der"von"-Phrase und"durch"-Phrase in passivischen Sutzen" 北海道大学言語文化部紀要. 33. (1997)
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[Publications] 江口 豊: "ことばの分類と個別言語研究-ドイツ語の場合-" 『ことばについて考える』北海道大学言語文化部研究報告叢書. 26(印刷中). 71-80 (1998)
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[Publications] 橋本 聡: "「民族」で読むスロヴァキア" 『「民族」で読む世界』北海道大学言語文化部研究報告叢書. 18. 51-88 (1997)
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[Publications] 橋本 聡: "ドイツ語圏とのコミュニケーション" 『新・ドイツ語圏研究』北海道大学言語文化部研究報告叢書. 23(印刷中). (1998)
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[Publications] 橋本 聡: "基層文化とのコミュニケーション" 北海道大学言語文化部研究報告叢書. (印刷中). (1998)
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[Publications] 清水 誠: "西フリジア語の文法構造-数詞,副詞,der-" 北海道大学言語文化部紀要. 45-3. 171-246 (1997)
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[Publications] 清水 誠: "西フリジア語の文法構造-前置詞と後置詞(1)-" 北海道大学言語文化部紀要. 46-1. 23-62 (1997)
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[Publications] 清水 誠: "ゲルマン語類型論から見た西フリジア語の「割れ」(Brechung)と「短母音化」について" ドイツ文学(日本独文学会). 99. 17-27 (1997)
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[Publications] 清水 誠: "西フリジア語の文法構造-前置詞と後置詞(2)-" 北海道大学言語文化部紀要. 46-2. 41-64 (1998)
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[Publications] 清水 誠: "西フリジア語の文法構造-接続詞-" 北海道大学言語文化部紀要. 46-3(印刷中). (1998)
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[Publications] 室井禎之: "言語における意味の問題" 『ことばについて考える』北海道大学言語文化部研究報告叢書. 26(印刷中). (1998)
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[Publications] 室井禎之: "コミュニケーションの原理" 『ことばについて考える』北海道大学言語文化部研究報告叢書. 26(印刷中). (1998)