1997 Fiscal Year Annual Research Report
マ-ストリヒト条約改正後の欧州連合(EU)における環境政策の多角的検証
Project/Area Number |
08452003
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
水上 千之 広島大学, 法学部, 教授 (60115277)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 大 東海大学, 法学部, 教授 (30033749)
西谷 元 広島大学, 法学部, 教授 (80208181)
相澤 吉晴 広島大学, 法学部, 教授 (60150900)
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Keywords | マ-ストリヒト条約 / EU / 環境政策 / 共通政策 |
Research Abstract |
共通政策としての環境に関する共同体立法は、他の通商政策、競争政策などの共通政策立法に影響を与えるが、また反対にこれらの環境政策以外の政策分野における立法においても環境保護に関するものを含み得る。共同体機関は、異なった政策分野において、権限の有無またその範囲が異なる。また同時に共同体機関相互間の権限関係も政策分野ごとに異なる。さらに環境政策分野においては共同体の有する権限が指令であるため共同体の加盟国の権限関係にも影響を与える。 共同体裁判所は、一般原則として、環境政策という横断的性格を有する政策の場合、特定分野における権限付与規定が、一般的権限付与規定に優先するという一般的原則を導いている。しかしながら、環境政策は特別な権限付与規定に基づくとともに、一般的権限付与規定にもよることができるとも判示している。そしてその理由として、環境保護は共同体政策全体にとって追求される「公の利益」として予定されていると結論づけられる。 このように、ECにおける環境問題は、EC内部の権限関係、ECと加盟国の権限関係が複雑に錯綜するのみならず、環境政策と他の政策分野との関連によって、機関、加盟国の管轄権の範囲が決定されるという重層的な構造を有している。この構造は、マ-ストリヒト条約において新たに導入された共通政策分野または条約規定ごとに異なる立法手続により、より複雑化している。
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