1996 Fiscal Year Annual Research Report
21世紀型産業構造への転換をめぐる日本企業の現状と課題
Project/Area Number |
08453006
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
中野 安 大阪市立大学, 経済研究所, 教授 (30047120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
怱那 憲治 大阪市立大学, 経済研究所, 講師 (00275273)
川端 望 大阪市立大学, 経済研究所, 助教授 (20244650)
榎本 里司 大阪市立大学, 経済研究所, 助教授 (80221117)
明石 芳彦 大阪市立大学, 経済研究所, 助教授 (00150970)
福田 義孝 大阪市立大学, 経済研究所, 教授 (30047261)
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Keywords | 企業の社会性 / ベンチャー・キャピタル / 価格破壊 / 技能継承 / 年俸制 / 情報技術 / 製造技術 |
Research Abstract |
自己実現や地球環境親和性などは従来、副次的な要素と見なされてきたが、その評価基準を改め、社会の中での経済活動の位置づけ等を見直すべきであろう。結果として、ゆとりと創造性の具体化、長期における生産性の向上や個々人の自己実現と結び付き、「持続可能な」経済活動と両立するだろう。個別課題の成果報告として、(1)年俸制の導入は、低成長への移行に伴う定期昇級が企業にとり重い経費負担となるためだが、賃金制度全体の見直しは労働インセンティブを左右し、個人間の人事評価基準や職務概念など日本型雇用慣行の再検討を迫る。(2)1980年代に始まる日本の「価格破壊」は、製販同盟の追求や新経営システムの構築に基礎を置く段階へ移行した。だがこの過程で、パートタイマー比率の上昇や労働条件の劣悪化などが生じており、ゆとりある経済生活を保障するに至ってない。(3)品質管理ISO、環境ISOへの対応における企業理念を事例研究などを通じて考察し、企業における「社会性の内部化」という新しい企業行動パラダイムの構築を検討している。(4)インターネットの出現を契機に企業間・企業内通信システムが一変したが、同時にビジネス・コミュニケーションや取引関係さえ変化している。(5)わが国ベンチャー企業の開業と資金調達の実態を検討し、ベンチャー・キャピタルおよびビジネス・エンジェルの投資行動の問題点が明らかになった。(6) 1970・80年代、日本の技術導入はノウハウ関連の契約を中心とし、対日技術契約は当該技術を使用した製品の輸出市場先を強く制限する過程にあった。(7)大手鉄鋼メーカーでは、作業手順やトラブル対処のマニュアル化や整備支援システムの構築、機械化・自動化になじみにくい作業の技能継承(技能をより客観的な知識に置換するなど)、そしてOJTとロ-テーションを通じた多能工化が対象と形態を強めて、それぞれ目的意識的に追求されている。
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Research Products
(2 results)