1996 Fiscal Year Annual Research Report
植物の新トランスポゾンの単離と既知トランスポゾンの異種植物での転移
Project/Area Number |
08454261
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
飯田 滋 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 教授 (30012777)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土生 芳樹 岡崎国立共同研究機構, 基礎生物学研究所, 助手 (80266915)
|
Keywords | アサガオ / イネ / 易変性変異 / 高等植物 / 転移 / トランスジェニックイネ / トランスポゾン / マルバアサガオ |
Research Abstract |
植物の新トランスポゾンの単離と既知トランスポゾンの異種植物での転移 研究実績報告書 トランスポゾンは染色体上を転移して種々のDNA再編成を引き起こし、遺伝子の発現調節に影響を与え得る遺伝因子で、時に遺伝的斑入り(キメラ斑)を出現させる。我国で花卉園芸化されたアサガオや近縁のマルバアサガオには未知トランスポゾンが関与すると思われるキメラ斑の生ずる系統が得られているので、本研究ではキメラ斑形成に関与する未知トランスポゾンの検索を試み、キメラ斑形成の分子機構を解明を試みる。また、トウモロコシのトランスポゾンAc/Dsをイネのような異種植物に導入、トランスジェニック植物中での転移能やDNA再編成、ゲノム上で挿入部位の構造上の特徴などを解明も行う。 淡黄色地に紅色の斑点模様とキメラ斑が同時に生じるアサガオの“Speckled"変異や、白地に有色のキメラ斑が生じるばかりでなく、不完全優勢などの興味ある形質を示すマルバアサガオの“Flaked"変異などの易変性変異(Mutable alleles)の同定を、種々の分子遺伝学的手法を駆使して試み、各々アントシアニン色素生合成系の構造遺伝子内にトランスポゾンなどの可動遺伝因子が挿入していることを強く示唆する結果を得た。今後さらにこれらの遺伝子の構造を詳細に解析する。白地に有色のキメラ斑の生じるアサガオの“Flecked"に関しては、色素生合成系のDFR遺伝子中に挿入していたトランスポゾンTpn1内で転写がポリAの付加により終結することが白地の花が咲く主要因であることを明らかにした。 非自律性因子Dsを持ったトランスジェニック植物とAcの転移酵素遺伝子を持ったトランスジェニック植物を交雑し、Fl植物個体中で体細胞転移したDsを個別に多数クローン化し、それらの構造を解析中である。また、Dsの挿入領域に相同性をもつイネのcDNAを得たので、これらのクローンの構造解析も開始した。
|
-
[Publications] Inagaki,Y.,Hisatomi,Y.,and Iida,S.: "Somatic mutations caused by excision of the transposable element,Tpn1,from the DFA gene for pigmentation in sub-epidermal layer of periclinally chimeric flowers of Japanese moming glory and their germinal transmission to their progeny." Theoretical and Applied Genetics. 92. 499-504 (1996)
-
[Publications] Hisatomi,Y.,Yoneda,Y.,Kasahara,K.,Inagaki,Y.and Iida,S.: "DNA rearrangements at the region of the dihydroftavonol 4-reductase gene for flower pigmentation and incomplete dominance in moming glory carrying the mutable flaked mutation." Theoretical and Applied Genetics. (In press).
-
[Publications] 飯田滋.星野敦.久富恵世: "アサガオ属の易変性変異と可動遺伝因子" 細胞工学別冊.植物のゲノムサイエンス. 5. 132-141 (1996)
-
[Publications] 飯田滋: "可動遺伝因子と植物ゲノムのダイナミズム" 細胞工学別冊.植物ゲノムサイエンス. 5. 102-103 (1996)
-
[Publications] 廣近洋彦.高橋英子.飯田滋: "シリーズ分子生物学の展開.5巻 植物分子生物学" 朝倉書店(印刷中),