1996 Fiscal Year Annual Research Report
超伝導機器を対象とした極高性能電気絶縁材料の開発に関する研究
Project/Area Number |
08455133
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
小さき 正光 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (80023191)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村本 裕二 豊橋技術科学大学, 工学部, 助手 (70273331)
長尾 雅行 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (30115612)
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Keywords | エチレンプロピレンゴム / 誘電特性 / 耐トリ-イング性 / 絶縁破壊特性 / 充填剤 / 空間電荷 |
Research Abstract |
本研究では、エチレンプロピレンゴム(EPR)に配合される無機質充填剤に焦点を当ててその種類及び量を系統的に変化させ、極低温領域におけるEPRの電気絶縁特性に及ぼす充填剤の影響を詳細に調べ充填剤の最適化を試みた。極低温領域におけるEPRの電気絶縁特性に関する実験結果からポリエチレンなどの高分子材料と比べ誘電正接が低く、耐トリ-イング性にも優れ、それが水分や酸素などの絶縁劣化に関与する分子の凍結と相俟って、絶縁性能を著しく向上させることがわかった。このような結果からEPRはまさに超絶縁ともいうべき特性を具備している材料であることを示し、現状電力システムとの整合性を念頭においた交流超伝導電力機器あるいは将来を見通した直流超伝導電力機器に適用する絶縁材料と成り得ることが確認された。EPRの電気絶縁特性に及ぼす充填剤の影響として、充填剤配合量を変化させた結果、直流絶縁破壊特性および空間電荷分布の計測から、充填剤界面が電荷をトラップし空間電荷の進展を妨げる可能性が示唆され、電気絶縁性能の向上の可能性を示すものとなった。同様に、極低温領域におけるEPRの機械的特性に及ぼす充填剤配合量の影響も調べ、引っ張り破壊強度における比較を行った。その結果、配合量の変化による引っ張り強度などの顕著な値の差は見られなかった。現有のEPRより熱伝導率を向上させるために充填剤にアルミナを用いることが考えられており、極低温領域におけるEPRの誘電特性に及ぼすアルミナ充填の影響について検討を行った。その結果、tanδの値は、アルミナの配合量や粒径の影響が少ないことや極低温において顕著な電界依存性を有することがわかった。本研究を通して極低温における電気絶縁特性改善の手法を確立することによりゴム材料が有する潜在的に卓越した絶縁性能の特徴を顕在化させ得ることができると見込まれると思われる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 小さき正光: "超伝導機器の電気絶縁技術の今" 電気学会誌. 116巻6号. 339-342 (1996)
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[Publications] M.Kosaki: "Research and Development of Electrical Insulation of Superconducting Cables by Extruded Polymers" IEEE Electrical Insulation Magazine. Vol.12 No.5. 17-24 (1996)
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[Publications] 箕田充志: "極低温領域におけるエチレンプロピレンゴムの短絡トリ-現象と空間電荷の注入" 電気学会論文誌A. 117・A巻2号. 193-198 (1997)