数値計算シミュレータを組み込んだ溶接品質モニタリングシステムの研究

1997 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 08455335
• Research Institution: Osaka University
• Principal Investigator: 荒井 栄司 大阪大学, 工学部, 教授 (90135814)
• Keywords: 抵抗溶接 / 品質モニタリング / 数値計算シミュレーション / 仮想溶接機

Research Abstract

本研究は,正確な溶接加工現象の非線形数学モデルが作成できれば,この数学モデルに立脚した数値計算モデルによる仮想溶接機をリアルタイムに走らせ,現実の溶接機からモニタリングした測定可能な出力パラメータとこの仮想溶接機の対応動作パラメータが一致するように仮想溶接機の動作設定パラメータ(実験的にはリアルタイム観測が困難なパラメータ)を同定・調整することによって,所要の直接測定不可能な溶接状態が間接的に推定できるとの考えの基に進められているものである.初年度となる平成8年度はマイクロコンピュータ(PC)上で動作するこの仮想溶接機の試作を行った.
そして2年目となる平成9年度は,このリアルタイム動作可能な仮想溶接機の動作最適化のためのプログラムコードの改良と,この仮想溶接機によって得られた推定結果の適用性吟味を行った.結果として,独立に動作するDSPボードを組み込んだPCやペンティアムクラスのCPUを搭載した最新の高速動作PCをデータ処理装置として採用し,1サイクル通電毎の同定作業でも熱時間定数的に十分な鋼板系の材料に適用対象を限れば,この手法によってほぼリアルタイムに抵抗スポット溶接部の品質モニタリングができることを実験的に明らかにした.さらに,このシステムを利用すると,溶接機制御のための指令信号を出す時間的余裕もあることが明らかになった.この結果は、このシステムを改良して、最終ステップとしての適応制御品質保証システム開発の上での実現可能性に重要な示唆を与えている.