1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08455354
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
谷垣 昌敬 京都大学, 工学研究科, 教授 (30027148)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
車田 研一 京都大学, 工学研究科, 助手 (80273473)
大嶋 正裕 京都大学, 工学研究科, 助教授 (60185254)
|
Keywords | 多孔質膜 / 構造制御 / PTFE / 周期性構造 / 動力学的操作 / 結晶構造 |
Research Abstract |
本研究は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のファインパウダーを原料として押し出し、圧延、延伸という一連の動力学的操作によって多硬質膜を創製するプロセスで形成する秩序構造と操作条件の相関性を対象とするものであり、本年度は一軸延伸時の多孔構造形成とそのメカニズムの解明を対象とした。得られた主な成果は以下の通りである。 1.高秩序をもつ多孔質膜の製造:押し出し、圧延、延伸という一連の動力学的操作によって、粒子塊(ノード)と糸状構造物(フィブリル)がほぼ一定の間隔で交互に現れる周期性の高い秩序構造をもつ多孔質膜の製造が可能である。 2.周期的構造:この秩序構造の周期は、使用する高分子の分子量が小さいほど、延伸速度が小さいほど、た延伸温度が高いほど大きく、これらの因子による制御が可能である。また、延伸率を大きくすると、フィブリルの平均長が大きくなる。 3.フィブリル:フィブリルは圧延操作によってファインパウダーから紡がれる細糸状構造物(コネクション)が数多く束なったものであり、その密度は圧延操作の回数によって変化する。この構造はPTFE粒子のもつ結晶構造の特異性(リボン状に折り畳まれた結晶構造)に由来する。 4.延伸時の動力学的挙動:延伸時の引張応力は延伸の初期では直線的に急激に増加するが(弾性的挙動)、その後一定値に漸近する(塑性的挙動)。弾性的挙動はフィブリルの弾性的伸縮、塑性的挙動はフィブリルの定常的な成長に対応する。フィブリル形成の活性化エネルギーは約7.5kJ/molであり、熱エネルギーのおよそ3倍程度の比例的小さい値である。
|