1996 Fiscal Year Annual Research Report
天然林施業における植物の種多様性および遺伝的多様性の動態解析
Project/Area Number |
08456075
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井出 雄二 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (90213024)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木佐貫 博光 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助手 (00251421)
小島 克巳 東京大学, アジア生物資源環境研究センター, 助教授 (80211895)
山本 博一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (70174810)
梶 幹男 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (00152645)
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Keywords | 林分構造 / 林分施業法 / 遺伝的多様性 / トドマツ / エゾマツ / アカエゾマツ / アイソザイム / RAPD |
Research Abstract |
森林施業との関連から、東京大学農学部附属北海道演習林で実施されている林分施業法を通じて樹種構成、径級構成がどのように変化したかを解析した。択伐林分の径級別、針広別の立木本数および材積の変化を約30年前からデータに基づいて解析した結果、林分材積には顕著な変化は見られなかったが、針葉樹の中小径木が減少し、広葉樹の中小径木が増加した。また、立木本数は、針葉樹が減少、広葉樹が増加しているが、全体としては減少した。これは、針葉樹の天然更新が不十分であることと、伐採の対象がトドマツの中大径木に集中し広葉樹の小中径木が伐採されなくなっていることによる。このため、将来林分構造が変化すると予想された。 天然林の遺伝構造の把握のために、同じく北海道演習林のトドマツ天然林において標高の異なる3集団について、集団遺伝学的解析を行うための針葉を採取した。また、天然林施業と遺伝的多様性の関連を調べるために、択伐施業林分と保存林分において、上木と下木とから針葉を採取した。採取したサンプルは現在アイソザイム遺伝子の解析を実施している。これらの林分については、トドマツの更新を遺伝的側面から解析するために、位置図の作成を行った。 また、樹木の親子関係推定法確立のために、アカエゾマツとエゾマツの種間雑種について表現型およびDNAの遺伝様式の解明に取り組んだ。エゾマツおよびアカエゾマツから、その雑種に枝の有毛性や葉および球果などの形態ならびに開芽期がどのように遺伝するのかについて調査を行った。また、数個体よりDNA抽出を行い、RAPD法による親子関係推定の可能性探索を行った。その結果、形態および開芽期については、種間雑種には両親種の中間を示すものとエゾマツ寄りを呈するものの2型が確認された。DNA多型についても表現型と同様の結果となった。
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