1996 Fiscal Year Annual Research Report
有機溶剤蒸気曝露における経皮吸収寄与度評価-ヒトボランティア実験による-
Project/Area Number |
08457119
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
櫻井 治彦 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (70051357)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武林 亨 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (30265780)
大前 和幸 慶應義塾大学, 医学部, 助教授 (60118924)
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Keywords | 皮膚吸収 / 有機溶剤 / ジメチルアセトアミド / ジメチルホルムアミド / ヒトボランティア |
Research Abstract |
初年度はヒトボランティア曝露に用いる曝露チャンバーの作成、倫理委員会の承諾、DMACに関して曝露実験、一部の化学物質に関して曝露実験の可能性についての検討を行った。 曝露チャンバーは主・副曝露室からなり、半透明の素材で、内部の被曝露者の状態が把握できるように設計され、かつ曝露物質が吸着しにくい素材を選択した。エタノール、DMACで行った濃度コントロール実験では、チャンバー内濃度はどの位置でも均一で、その濃度の安定性も高く、ボランティアが曝露するに際しその安全性が充分保たれることを確認した。 倫理委員会に対する審査申請は、本年度は当初目的とした化学物質の内ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルホルムアミド(DMF)の2物質に関して行い、倫理委員会で行うことを指示された予備実験結果の慶応大学医学部倫理委員会による審査の結果、承諾された。今後他の化学物質に関しても同様に申請を行っていく予定である。 ヒトボランティアを対象としDMACの曝露実験では、対象は12名のヒトボランティアで、各ボランティアに対して皮膚吸収曝露(短パン着用で皮膚の9割程度を露出)、経気道曝露の各4時間づつ、計2回の曝露を行い、各曝露後吸収したDMACが全て排出が行われると考えられる72時間後(36時間後まで全回、それ以後48、72時間後採尿)まで採尿し、代謝物であるNMACを測定し、皮膚吸収寄与程度、尿中NMACの半減期の検討を行った。その結果DMACの皮膚吸収寄与程度は経気道吸収と比し41.6【+-】10.7%で、尿中NMACの半減期は経皮曝露7.7【+-】1.7時間、経気道曝露5.2【+-】2.7時間であった。DMFはその物性、毒性がDMACと類似していることで知られており、現在行っている基礎実験が終了次第曝露実験を行う予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Namiyama T et al.: "N,N-Dimethylacetamide:Significance of vapor absorption from the skin on human volunteers" Book of abstracts II 25^<th> International Congress on Occupational Health. 119 (1996)
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[Publications] 野見山哲生 他: "ジメチルアセトアミド蒸気のヒトボランティアでの皮膚吸収に関する検討" 産業衛生学雑誌. 38. S528 (1996)
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[Publications] 石塚千鶴 他: "ジメチルアセトアミド蒸気の生物学的モニタリング-採尿時期及び尿中代謝物NMACの補正方法に関する検討-" 産業衛生学雑誌. 38. S529 (1996)