1998 Fiscal Year Annual Research Report
コンピューター画像解析を用いたアルツハイマー病脳の組織計測的研究
Project/Area Number |
08457249
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
三好 功峰 京都大学, 医学研究科, 教授 (10068447)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大原 一幸 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (00268541)
丸井 規博 京都大学, 医学研究科, 助手 (90199919)
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Keywords | 画像解析 / 組織計測 / 神経細胞死 / 神経原線維変化 / 老人斑 |
Research Abstract |
平成10年度は、アルツハイマー病脳における大脳皮質の変化を数量的に計測した。 アルツハイマー病脳(Braak stage 7) 5例、年齢を一致させた対照例5例において、10ミクロン・パラフィン切片を作成し、Nissl染色を行い、皮質全層について、1000ミクロンの幅の領域における神経細胞の総数、小神経細胞数、大神経細胞数を計測した。 全神経細胞の減少率は、前頭葉眼窩脳(32.0%)、中心前回(18.0%)、下側頭回(43.0%)中側頭回(44.0%)、上側頭回(58.0%)、頭頂葉(45.0%)後頭葉・烏距野(52.0%)、海馬(48.0%)であった。大神経細胞、小神経細胞の減少率も合わせて計測した。 下側頭回の皮質の層と海馬における神経細胞数の減少と神経原線維変化の出現の関連を見ると、下側頭目の神経細胞の減少率は、第3層(18.6%)、第4層(17.8%)、第5・6層(9.3%)であり、神経原線維変化の出現率は、第3層(23.8%)、第4層(8.8%)、第5・6層(29.6%)、第2層(8.7%)であった。また、海馬における神経原線維変化の出現率は、43.3%であった。アルツハイマー病における上側頭回において、第5・6層の神経細胞の著明な脱落が、下側頭回において第3層の神経細胞の有意の脱落がみられた。また、後頭葉・烏距野においては、第3、4、5層において神経細胞の脱落が認められた。 本研究においては、コンピューター画像解析を用いて神経細胞の脱落・変性と組織の萎縮の様態を数量化し、その変化を神経細胞における神経原線維変化の出現頻度、および神経組織におけるアミロイド沈着(老人斑)との関連において検討し、アルツハイマー病における神経組織の変性の様態を明らかにし得た。
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[Publications] Ohara, Kazuyuki: "A morphological study of subcortical changes in Alzheimer's disease." Neuropathology(in press). 19. (1999)
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[Publications] Ohara, Kazuyuki: "A morphometric study of subcortical neurofibrillary tangles in Alzheimer's disease." Neuropathology. 16. 231-238 (1996)
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[Publications] Matsumura, Y.: "Japanese siblings with missense mutation(717 VA1-Ile)in amyloid precursor protein of early-onset Alzheimer's disease." Neurology. 46. 1721-1723 (1996)
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[Publications] Ueki, A.: "Histological evidence for cholinergic alteration in the hippocampus following entorhinal cortex lesion." J.Neurol.Sci.142. 14-21 (1996)
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[Publications] 三好功峰: "アルツハイマー病の臨床症状と診断基準." Modern Physician. 18. 379-381 (1998)
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[Publications] 三好功峰: "21世紀の“痴呆診療"はどうなるか." 治療. 80. 1686-1690 (1998)
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[Publications] 三好功峰: "アルツハイマー型痴呆の仮説." こころの臨床.17増刊号. 351-353 (1998)
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[Publications] 三好功峰: "アルツハイマー病における神経組織の変化の在り方を探る." 文部時報.1453. 74-75 (1997)
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[Publications] 三好功峰: "日本人の病気・病態-老年性痴呆-." 最新医学. 52. 1176-1187 (1997)
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[Publications] 三好功峰: "老年期痴呆の諸病態." Dementia Japan. 11. 207-215 (1997)
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[Publications] 三好功峰: "痴呆とは." 現代医療. 28. 1099-1102 (1996)
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[Publications] 三好功峰: "痴呆とうつ" 綜合臨床. 45. 895-898 (1996)
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[Publications] 三好功峰: "老年期の痴呆性疾患" 医学書院, 250 (1998)
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[Publications] 三好功峰: "Alzheimer病『臨床精神医学講座10巻、器質・症状性精神障害』(三好功峰、黒田重利編)" 中山書店, 520(87-105) (1997)
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[Publications] 三好功峰: "痴呆のモデル動物『Key Word, 1997-'98.精神』(松下正明ほか編)" 先端医学社, 268(174-175) (1997)