1998 Fiscal Year Annual Research Report
In situ PCR法の口腔軟組織疾患診断への応用
Project/Area Number |
08457562
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小口 春久 北海道大学, 歯学部, 教授 (30124689)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉原 俊博 北海道大学, 歯学部, 助手 (60261319)
工藤 真幸 北海道大学, 歯学部, 助手 (10164500)
白川 哲夫 北海道大学, 歯学部・附属病院, 講師 (00187527)
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Keywords | in situ PCR / 単純ヘルペスウイルス(HSV) / マイコプラズマ / 一酸化窒素(NO) / NO合成酵素(NOS) / 唾液 / 培養線維芽細胞 / 口腔粘膜病変 |
Research Abstract |
PCR法を用いて小児および成人両方の口腔内から単純ヘルペスウイルス(HSV)を同定した研究は国内外を見ても少ない。本研究ではPCR法により健常児の唾液サンプルから(全被験者の17%)HSV-1が検出されることを明らかにした。また、口腔内常在が疑われる病原体としてマイコプラズマに着目し、PCR法による検出を試みたところ、健常者(小児を含む)の唾液中にマイコプラズマが高率(50%)で存在することが明らかになった。本研究の主たるテーマは組織中に存在するであろうHSV等の病原体の検出にPCR法を応用しようとするものであったが、検討の結果、insituPCR法に近い原理で組織切片上での遺伝子シグナル増幅を行うビオチンチラミド法が簡便かつ再現性が高いという結果が得られ、口腔粘膜病変部からのHSV-1のDNA検出が可能であった。 口腔軟組織疾患の診断において、病原体の検出の他に有効と考えられるのは、ウイルスなどの感染に伴って発現する炎症のマーカーを調べる方法である。われわれはそのようなマーカーとして一酸化窒素(NO)に着目した。NOはHSV-1やインフルエンザウイルスの感染部位で生成され、ウイルスによる炎症拡大に深く関与していることが報告されている。NO合成酵素(NOS)の遺伝子発現をRT-PCR法にて検討したところ、口腔由来の培養線維芽細胞においてNOSmRNAが発現していることが分かった。また伸展力刺激によって線維芽細胞でのNOS蛋白の合成が促進されることを確認した。口腔粘膜病変でのNOSの局在やNOSmRNAの発現については現在解析中であり、今後、口腔内から得られた組織切片、唾液、分離培養細胞についてのウイルスやマイコプラズマの検出あるいはNOとその合成酵素であるNOSの測定が、口腔軟組織疾患の診断に大きな威力を発揮する可能性が示された。
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