1997 Fiscal Year Annual Research Report
臓器移植プロセスにおける心理・社会的援助に関する研究
Project/Area Number |
08457625
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
長谷川 浩 東海大学, 健康科学部, 教授 (70091105)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平賀 聖悟 東海大学, 医学部, 助教授 (10114779)
米山 奈奈子 東海大学, 健康科学部, 助手 (20276877)
瀧川 薫 東海大学, 健康科学部, 講師 (80276873)
末安 民生 東海大学, 健康科学部, 講師 (70276872)
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Keywords | 腎移植 / 透析医療 / 臓器移植ネットワーク / 移植医療 / 移植コーディネーター / レシピエント援助 / 移植説明プログラム / 看護職の意識調査 |
Research Abstract |
「臓器の移植に関する法律」の制定に伴い、あらためて日本臓器移植ネットワークが発足し多臓器移植に向けての態勢が整いつつある。しかしながら、レシピエントに対する心理・社会的援助は依然として整備されていない。昨年度に引き続き、レシピエント援助の実績をあげている医療機関の実情を参考にしながら、透析医療・移植医療の専門看護職を対象にこの問題に対する意識調査を実施し、オーストラリアの移植専門家(コーディネーター、移植医、医療ソーシャルワーカー)のレビューを受けて検討した。調査結果の概要は以下の通りである。 1.質問紙『透析医療・臓器移植医療における看護職の役割に関する調査』(質問項目30問)を作成し、透析ならびに移植病棟の看護職を対象に全国調査を実施した。回答数は980名(回収率:68.4%)であった。 2.経験年数の長い者ほど、透析医療の諸問題(業務の複雑化、容量の限界、透析技術の限界など)や看護の独自性そして移植説明プログラムの必要性を認識しているが、移植への橋渡しは医師の役割と見なしている。 3.臓器移植に関する学習、患者や家族への啓蒙活動、脳死移植への関心度など、移植関連の認識や活動については、あまり積極的とはいえない。 4.臓器提供の依頼者として移植医が適任であるとする考え方が大勢を占め、移植医療の公正性に対する認識に問題が認められる。レシピエントケアの特殊性に関する一応の知識はあるが、医師依存の傾向が強い。 5.過半数の回答者は、レシピエントケアに関心を持ち、レシピエントの決定とか移植後の看護ケアなど移植プロセスの中での看護の重要な役割を意識しているが、今後レシピエント援助の専門家として活動するためには、移植に関する正確な知識と学習意欲、医師依存に偏らない自律性、移植問題に関する熱意などが必要である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 長谷川 浩: "臓器移植プロセスにおける心理・社会的援助に関する研究:概観と展望" 東海大学 健康科学部紀要. 第2号. 75-80 (1997)
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[Publications] 長谷川 浩: "臓器移植におけるメンタルヘルス" こころの看護学. 2(1). 59-62 (1998)
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[Publications] 長谷川 浩 ほか: "臓器移植プロセスにおける心理・社会的援助に関する研究:透析と移植に関する看護職の意識調査" 東海大学 健康科学部紀要. 第3号(掲載予定). (1998)