1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08458002
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
無藤 隆 お茶の水女子大学, 生活科学部, 教授 (40111562)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原野 明子 県立新潟女子短期大学, 専任講師 (10259210)
伊藤 美奈子 お茶の水女子大学, 生活科学部, 助教授 (20278310)
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Keywords | 幼児 / 感情 / 感性 / 歌 / 描画 / 仲間関係 / 自己 / 保育者の信念 |
Research Abstract |
本研究では、幼児期の感情・感性の育ちを解明するために、幼児の感情の発達、自己概念の発達、感性特に音楽や造形活動の発達、また、それを規定し、関係の深い、幼児の仲間関係および保育者との関係を検討した。また、保育者がそういった問題に対していかに関わるかを取り出した。特に本年度は、各々の研究の前年度のデータ収集を受けて、その分析とまとめを行った。また、継続して観察を行い、一部の子どもについて縦断的な観察資料を収集した。仲間関係では幼児同士のいざこざに注目した。特定の子どもの対の人間関係の変容について、関心を持って接近し、ぶつかり合いから関係の構築する過程を取り出した。また、造形表現の保育の観察から、表現を通して互いの関係を構築し、また体を通して分かるという経験をしていることを見いだした。さらに、幼児が遊びや生活の中で自然に歌い出す観察資料から、幼児の歌が幼児の活動や周りの状況と密接に絡み合っていることを見いだした。以上のようなことから、幼児の感情・感性・人間関係さらに自己の発達の密接な関連を明らかにした。また、幼稚園という環境のあり方、また保育者のかかわり方が関連すること、さらのその背後には保育者の保育観や子供観が関わっていることを推察できた。幼児の自己のあり方は根本的には、幼児の認知・感情と密接に絡み合い、また、周りの環境とのかかわりとして、感性によって支えられている。
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[Publications] 無籐 隆: "生態学的現実における発達と教育の可能性を求めて" 基礎心理学研究. 16. 2-7 (1998)
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[Publications] 無籐 隆: "保育における場所の意味:製作コーナーの分析" お茶の水女子大学人文科学紀要. 50. 261-288 (1997)
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[Publications] 高濱裕子: "移行期の仲間関係:新入園児の参入にともなう進級児の相互作用の変化" 日本家政学会誌. 48. 279-287 (1997)
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[Publications] 高濱裕子: "保育者の保育経験の生かし方:指導の難しい幼児への対応" 保育学研究. 35. 304-313 (1997)
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[Publications] 堀 淳世: "幼稚園教諭が語る指導方法-経験年数による違い" 保育学研究. 35. 280-286 (1997)
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[Publications] 吉村 香: "保育者の成長における実践と省察" 保育学研究. 35. 288-294 (1997)
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[Publications] 横山 真貴子: "就寝前の絵本の読み聞かせ場面における母子の対話の内容" 読書科学. (印刷中).
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[Publications] 横山 真貴子: "幼児はどんな手紙を書いているのか?" 発達心理学研究. 9. (印刷中) (1998)
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[Publications] 無籐 隆: "早期教育を考える" 日本放送出版協会, 226 (1998)
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[Publications] 無籐 隆: "児童心理学" 放送大学振興会(印刷中), (1998)