1996 Fiscal Year Annual Research Report
大気中メタンの発生源評価-大気拡散モデル解析・大気放射能力測定・同位体比測定によって-
Project/Area Number |
08458144
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
飯田 孝夫 名古屋大学, 工学部, 助教授 (50089843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 俊夫 名古屋大学, 年代測定資料研究センター, 助教授 (10135387)
吉田 尚弘 名古屋大学, 大気水圏科学研究所, 助教授 (60174942)
池辺 幸正 名古屋大学, 工学部, 教授 (50023073)
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Keywords | メタン発生率 / ラドン / 乱流拡散係数 / 大気拡散 / 炭素同位体比 / 水田 / 日変動 |
Research Abstract |
大都市域部のように数km以上の範囲にわたってメタン発生率が一様でかつ時間的にほぼ一定とみなせる地域を対象とする場合、ラドン(^<222>Rn)の発生率を知り、メタンの濃度変動とラドンの濃度変動との比較をすることによってメタンの発生率の評価を行う手法が提案されている。しかしこの手法はラドンおよびメタンの減衰項が両者の日変動に及ぼす効果は小さいという仮定に基づいている。この仮定の妥当性の検討を行った。先ず、大気の乱流拡散係数としてJacobiとAndreが用いた模擬的な鉛直分布の日変動を与えた1次元拡散方程式を数値解析したところ、大気が安定な明け方のピーク濃度に減衰項は影響を与えないことがわかった。次に中京テレビ東山タワーの気象データを入力した実際の大気乱流拡散係数の鉛直分布の日変動を与えて1次元拡散方程式を数値解析したところ、10日目程度までは減衰項の影響はないが、それ以降は算出濃度に影響を及ぼし、両者の濃度変動は同一には扱えないとの知見を得た。発生率の評価にあったてはこの知見を考慮せねばならない。 水田地帯を対象として、名古屋市郊外の弥富町においてメタン及びラドン濃度の連続観測を実施した(1996年6月22日より同9月10日まで)。メタンは夜間から午前中にしばしばピーク濃度を示し、午後には概ねバックグラウンド濃度(1.75〜1.8ppmv)を示した。ピークには3.5ppmvに達するものもあった。ラドン濃度は、極く近傍の発生源または水田の影響を受けた可能性があるが、メタン濃度の変動とある程度の対応を示した。今後はメタン濃度と大気拡散数値計算との対応を見る必要がある。弥富において、炭素同位対比測定用試料を6回採集した。^<14>C/^<12>C比は1.15〜1.17のモダンカーボンの値を示し、δ ^<13>Cは-46〜-48%の世界平均値を示した。メタン濃度増大と共にδ ^<13>C値は減少傾向を示し、これらからCH_4の起源は水田の微生物にあると言える。
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