1997 Fiscal Year Annual Research Report
雪氷コア中への大気エアロゾル起源物質の定着化過程と形成シグナルの評価
Project/Area Number |
08458148
|
Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
渡辺 興亜 国立極地研究所, 研究系, 教授 (60111861)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島田 亙 国立極地研究所, 研究系, COE研究員
古川 晶雄 国立極地研究所, 研究系, 助手 (70261120)
神山 孝吉 国立極地研究所, 研究系, 助教授 (70135507)
藤井 理行 国立極地研究所, 北極圏環境研究センター, 教授 (20125214)
|
Keywords | エアロゾル / 地球環境指標 / 堆積過程 / 変態 / 氷化 / 降雪 / 積雪 / 層構造 |
Research Abstract |
今年度は、エアロゾル及び降積雪試料について化学的可溶特性および物理的結晶形態別解析を実施した。フィールド観測としては降積雪観測とともにエアロゾル起源物質の雪氷層への定着化現象の観測を行った。シベリア高気圧が卓越する北海道東部の観測地でエアロゾルを採取し可溶特性の観点から化学分析を行なった。大気中の輸送経路と物質循環過程においてエアロゾル特性と可溶特性の関連を検討した。 実験室では、上記観測地を含む様々な地域の雪氷圏から採取した積雪試料を用いて、エアロゾル起源物質の積雪層中への定着化過程を検討した。すなわち各降雪期に対応した積雪単位層あるいは1年間に堆積した年間積雪層から雪氷試料を採取し、上記特性解析を行なった。積雪層の変態過程に伴う物質移動現象とそれを反映した環境シグナルとしての定着過程を考察した。 また雪氷コアの積雪組織と結晶構造について画像解析を行ない、コア中の環境シグナルとの関係を検討した。画像による形態データと化学解析による物質が示す環境シグナルとを対比するため、マクロスケールの化学解析手法を開発した。 各地域の雪氷層の気象環境、特に雪温と堆積速度を反映して、堆積直後から氷化に至るまでの雪粒子の形態変化と化学組成変化することが、上記の解析から明らかになった。積雪中に形成される化学的あるいは物理的シグナルは、堆積直後から起こる雪粒子間の昇華・凝結、融解といった変態過程に大きく依存している。 今後、様々な氷化過程を含むエアロゾル起源物質の積雪層中への定着化過程と物理的及び化学的環境シグナル形成過程との関連を明らかにする。さらに雪氷層が示す化学的あるいは物理的シグナルの地球環境指標としての有効性を評価する。
|
Research Products
(8 results)
-
[Publications] Watanabe,O.: "Preliminary discussion of physical properties of the Dome Fuji Shallow ice core in 1993,Antarctica" Proc.NIPR Symp.Polar Meteorol.Glaciol.11. 1-8 (1997)
-
[Publications] Watanabe,O.: "A preliminary study of ice core chronology at Dome Fuji Station,Antarctica" NIPR Symp Polar Meteorol.Glaciol.11. 9-13 (1997)
-
[Publications] Watanabe,O.: "Preliminary report on analyses of melted Dome Fuji core obtained in 1993" Proc.NIPR Symp.Polar Meteorol.Glaciol.11. 14-23 (1997)
-
[Publications] Nishikiori,M.: "Distributions and historical records of aliphatic carboxylic acids in the H15 ice core from Antarctica" Proc.NIPR Symp.Polar Meteorol.Glaciol.11. 76-86 (1997)
-
[Publications] 神山孝吉: "雪氷試料中のHTO濃度の測定法と極域雪氷圏堆積環境研究への適用" 南極資料. 41. 631-642 (1997)
-
[Publications] M.Ikegawa: "Springtime peaks of trace metals in Antarctic snow" Environmental Health perspectives. 105・6. 654-659 (1997)
-
[Publications] Kameda,T.: "Surface mass balance,sublimation and snow temperatures at Dome Fuji Station,Antarctica,in 1995" Proc.NIPR Symp.Polar Meteorol.Glaciol.11. 24-34 (1997)
-
[Publications] Kameda,T.: "Meteorological observations along a traverse route from coast to Dome Fuji Station,Antarctica,recorded by automatic weather stations in 1995" Proc.NIPR Symp.Polar Meteorol.Glaciol.11. 35-50