Research Abstract |
児島湖に近接し,湖に流入する河川の川岸に湖岸据えつけ型栽培装置を設置し,河川水を連続的に流下させながら花卉類13種類20品種,野菜類3種類6品種の栽培を行い,本方式で栽培可能な園芸作物のスクリーニングを行った.また,湖面回遊型栽培装置を試作し,スプレイギクの栽培を行った. 1.湖岸据えつけ型装置は,雨よけビニルハウス内に,栽培ベッド(幅54cm,深さ35cm,長さ6m,3連区)を1/80の勾配で設置し,河川水を約25liter/minの流量で流下させた.吸水管にはごみよけフィルタをとりつけたが,ヘドロが流入してベッド底部に堆積し,根が酸素不足を起こす恐れが生じたので,流入時間を30分ごとの間断とした. 2.スクリーニング実験を5月上旬〜10月下旬に順次植え付けながら行った結果,各作物は次の4段階に分類できた.A(正常に育成) : カザニア,セロシア,マリ-ゴールド,トマト B(ほぼ正常) : ベニバナ,キンギョソウ,ナス,キュウリ C(生育したが一部枯死) : カ-ネーション,ヒマワリ,サルビア D(生育せず枯死) : ストック,アスター,ポピ-,ラークスパー,また,スプレイギクは品種によって反応が大きく異なり,供試した8品種はAからDまですべてにランクされた. 3.上記の実験に使用した河川水を,1997年5月〜10月の間毎週分析調査を行った結果,各無機要素の平均濃度は次のようであった.NO3-N : 21.7,NH4-N : 0.35,P : 4.29,K : 28.4,Ca : 80.3,Mg : 53.8,Fe : 0.62,Na : 210.6 各ppm. pHは平均7.47であった.なお,この河川水には周辺からの生活排水や耕作地からの流出水が流入していたため,各無機要素の濃度は同時に測定した児島湖水と比べてかなり高い値であった. 4.試作した湖面回遊型装置は,幅1.2m,長さ2.6mであり,前後に1枚ずつ搭載した太陽電池パネルを動力源として直流型船外機(JACKSON MAG-12-TM)によって推進する構造のものである.この装置の中央部に約1m^2の栽培用パネルをとりつけスプレイギクを植え付けて用水路に浮遊させ,約60cm/secの速度で往復運動させてキクの成育状況を観察した.その結果,キクは育成することが分かったので,上記2の結果に基づいて適応する作物を用いて成育状況を検討したい.
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