1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08459029
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (B)
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
内藤 靖彦 国立極地研究所, 研究系, 教授 (80017087)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷村 篤 三重大学, 生物資源学部, 助教授 (10125213)
佐藤 克文 日本学術振興会, 国立極地研究所, 特別研究員
岡田 雅樹 国立極地研究所, 情報科学センター, 助手 (40270425)
加藤 明子 国立極地研究所, 研究系, 助手 (80261121)
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Keywords | マイクロデータロガー / シロサケ / 回遊 / 行動 / 遊泳水深 / 適水温 |
Research Abstract |
本研究では、既に予備的実験を行ない技術的評価を終了したマイクロデータロガーにより、遡上期のシロサケの遊泳行動が、環境の大きく異なる沿岸域においてどのような影響を受け、どのような反応示すかを知るため岩手県大槌湾中心に現場実験を10月〜12月に行った。径19mm、長さ85mmのマイクロデータロガーをサケに装着し湾口部で放流し、再捕後、データを回収する実験を行った。環境水温による遊泳水深の選択がどのように行なわれるかをさらに詳細に検証するために、水温、水深の測定を各それぞれ5秒と2秒で行なった。その結果、サケの遊泳水深は、水温と関係し、水温が高いほど深く遊泳することが明らかになった。10月に遡上するサケは表面水温が18〜20°Cと高いため、遊泳水深は非常に深く、200mを越すことも多くあった。季節が進むに従い表面水温は低下し、15°C以下になると遊泳水深は表面近く50mを越すことはなくなる。水深のみならず、滞在時間も同様に水温が高い程長く深い水深に滞在する。さらに、成熟状態によりどのような影響を遊泳行動にもたらすかを明らかにするため、河口に遡上したサケを沖合で放流した。その結果サケは水温に関係なく、表面を遊泳し河口に再び遡上した。これらから、遡上期には水温を選択することなく、表面近くを遊泳することを選択した。これは、サケの回遊行動が二つの局面からなっていることを示している。第一は沿岸域に回遊し適水温を選択しつつ、遡上に至るまでの待機期間、第二は表水面を移動し短期間に河川に至る遡上期間である。
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