1997 Fiscal Year Annual Research Report
超急速・短時間加熱による高強度輪郭焼入れプロセスの開発
Project/Area Number |
08555027
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Research Institution | KEIO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
清水 真佐男 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (90051565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川嵜 一博 高周波熱錬株式会社, 部長研究員
小茂鳥 潤 慶應義塾大学, 理工学部, 専任講師 (30225586)
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Keywords | 疲労 / 高サイクル疲労 / 高周波焼入れ / 残留応力 / 破壊機構 / 走査型電子顕微鏡 |
Research Abstract |
鋼の表面焼入れ法として,これまで最も多く用いられて来た高周波焼入れ技術は,最近,大出力超急速高周波加熱装置の開発によって,部材の最表面層のみの硬化を可能とし,小型部品の表面改質法の新技術として各方面から注目されている.しかしながら超急速高周波焼入れによる鋼の表面性状の変化については,その焼入れ法が開発されて日が浅いことから,未知の事柄が多く,かかる表面処理法の鋼の機械的特性,特に疲労特性への影響については研究が非常に少ないのが現状である.そこで本研究では構造用炭素鋼(S45C)に,種々の条件で超急速高周波焼入れ処理を施した際の,表面性状変化と疲労特性とに関係,とくに,マイクロ硬さ分布,残留応力分布ならびにミクロ組織等と疲労破壊挙動との関係について系統的な実験と考察を行った.得られた成果を要約すると以下のようになる. (1)超急速加熱高周波焼入れの条件を適当に選ぶことにより,表面の極薄い層内のミクロ硬さ分布,残留応力分布を系統的に変化させることが可能となる.その際,表面の硬化層を薄くする程大きな圧縮残留応力を表面に生起させる事ができる. (2)超急速加熱高周波焼入れの疲労強度に及ぼす影響としては,平滑材に対するよりも切欠き材の疲労強度の改善に対してより顕著に働き,切欠き材の疲労強度はかかる焼入れによって500%以上も改善される. (3)超急速加熱高周波焼入れ材の表面層に生起する大きな圧縮残留応力が,疲労強度の改善に有効に効き,特に鋼中の介在物と基地組織との剥離が圧縮残留応力の存在によって生じ難くなることが疲労強度向上の基本的要因になると考えられる.
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Research Products
(1 results)