1997 Fiscal Year Annual Research Report
電力用デバイス絶縁放熱に適した窒化アルミニウム膜生成真空アーク蒸着装置の試作
Project/Area Number |
08555075
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
榊原 建樹 豊橋技術科学大学, 工学部, 教授 (10023243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 泰雄 イオン工学研究所(株), 企画調査室, 室長
滝川 浩史 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (90226952)
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Keywords | 窒化アルミニウム / 真空アーク / アーク蒸着装置 / 酸化チタン膜 / 質量・イオンエネルギー分析 |
Research Abstract |
AlN膜の生成を目的としたAl陰極 N_2ガスフロー真空アークに関し、電流を50A一定とし、プロセス圧力を0.3〜10Paと変えて、アーク電圧および装置内圧力の経時変化を測定した。その結果、アーク電圧は低い圧力では点弧直後から一定であるが、圧力が高いと、アーク電圧が徐々に増加することがわかった。次に、Al陰極の損耗量からAl蒸発流量を求め、一方、初期圧力とプロセス圧力との差および装置の排気特性から、N_2固定流量を求めた。その結果、以下のことが明らかとなった。(1)Al蒸発流量は、圧力が高くなるにつれて、減少する傾向にある。(2)電流が50Aの場合、N_2導入流量は、7〜12ml/min以上である。(3)Al蒸発流量とN_2固定流量との比は、およそ2:1である。この結果、体積膜内で、N_2がAlの形態で固定されていることを示唆している。 更に、陰極から水平方向距離25mmの位置に基板を置き、チャンバ内壁に堆積した膜をサンプリングした。その膜の膜厚、組成および表面形状を計測・分析した。その結果、以下のことが判明した。(1)堆積膜の厚さは、圧力が低いほど厚い。(2)膜内には、AlN結晶が存在するが、部分的にアモルファス状態である可能性がある。(3)膜表面には、数多くのドロップレットが存在する。 以上の結果は、Alもゲッター作用で吸着されたN_2ガスが膜内でAlNの形態で固定されていることを裏付けている。また、Al蒸発流量は実際には若干下方修正する必要があることも示唆している。
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[Publications] 滝川浩史: "窒化チタン膜生成用真空アークプラズマの質量・エネルギー分析" 電気学会研究会資料(放電研究会). ED-97-33. 53-58 (1997)
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[Publications] 滝川浩史: "真空アークPVD法によるTiO_2膜の生成" プラズマ応用科学研究会研究講演会プロシ-ディング. 6. 47-50 (1997)
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[Publications] 滝川浩史: "中真空におけるAl陰極N_2フロー真空アークの放電持続性に及ぼす電源" 電気学会論文誌A. 117-A・7. 660-664 (1997)
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[Publications] Hirofumi Takikawa: "Moss and Ion Energy Analysis of Vacuum Arc for TiN Film" Proc. of the 62th International Conf. of Gas Discharges. 1. 330-333 (1997)
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[Publications] 川上尚也: "中真空中のAl陰極アーク放電によるN_2ガスの吸着" 電気学会研究会資料(放電研究会). ED-97-116. 49-54 (1997)