1997 Fiscal Year Annual Research Report
セルフクローン化法による凝集性アルコール高生産酵母の開発と実用化研究
Project/Area Number |
08556012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
太田 明徳 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (30125885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 桂子 新エネルギー産業技術総合開発機構, アルコール事業本部研究開発センター, 主任
高木 良雄 新エネルギー産業技術総合開発機構, アルコール事業本部研究開発センター, 課長(研究員)
斉木 隆 新エネルギー産業技術総合開発機構, アルコール事業本部研究開発センター, 所長
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Keywords | 凝集性酵母 / Saccharomyces cerevisiae / FLO1 / セルフクローニング / セルフクローン化法 / アルコール高生産酵母 / yeast / アルコール醗酵 |
Research Abstract |
アルコール生産の発酵プロセスにおける凝集性酵母の利用は,固液分離の省力化,菌体の再利用,繰り返し回分発酵法による生産性の向上を可能にする。これまで優れたアルコール発酵能を有する非凝集性工業用酵母Saccharomyces cerevisiae396-9-6V株を宿主とし,高木らによって単離されたシクロヘキシミド耐性遺伝子を選択マーカーとして用いる宿主・ベクター系を構築し,渡らによってクローン化され構造の解析が行われた凝集性遺伝子FLO1を導入した凝集性396-9-6V株を取得した。今年度は同じアルコール高生産酵母を宿主として染色体への組み込みによる形質転換を行い,実用上より適したセルフクローニング系の凝集性396-9-6V株の育種を行った。また,小スケールにおける発酵試験を行った。 S.cerevisiaeのADH1プロモーター支配下のFLO1を用いてURA3遺伝子を破壊したDNA断片を396-9-6V株に投与し,5-fluoroorotic acid耐性を指標にウラシル要求性の形質転換体を選択した。得られた形質転換株はS.cerevisiae以外の遺伝子を含まず,いずれも凝集性を示した。発酵試験では糖蜜培地で親株に比べ生育は若干遅かったが最終的に親株と同等の発酵性能を示した。ウラシルを添加することによって発酵速度が向上した。現在さらに大きな発酵槽を用いた試験をすすめているが,本研究によって,他生物遺伝子を持たない実用凝集性酵母の遺伝子操作による開発の先鞭を付けることができた。
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