接着剤混入法による高耐久性木質材料の製造システムの開発

1997 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 08556028
• Research Institution: KYOTO UNIVERSITY
• Principal Investigator: 今村 祐嗣 京都大学, 木質科学研究所, 助教授 (70151686)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 飯島 倫明 東京農業大学, 農学部, 教授 (30078183) ; 梶田 煕 京都府立大学, 農学部, 教授 (90046467) ; 高橋 旨象 京都大学, 木質科学研究所, 教授 (10027162) ; 畑 俊充 京都大学, 木質科学研究所, 助手 (10243099) ; 石原 茂久 京都大学, 木質科学研究所, 教授 (90027160)
• Keywords: 接着剤混入法 / 耐朽性 / 耐蟻性 / 難燃性 / 木質材料 / XPS / ホウ酸 / フェノール樹脂

Research Abstract

接着剤中に有機、無機の防虫・防腐薬剤を混入してパーティクルボード(PB)を製造したところ、合板に比較して低い処理レベルで高性能の耐腐朽性、耐シロアリ性が達成できることを見出した。そして、これがPBにおいては、腐朽菌糸がパーティクル相互間の接着層間隙にまず選択的に侵入するというボード材料に特有の腐朽様式に対応していることを、SEMによる微細構造の観察から明らかにした。すなわち、ウレタン系接着剤などは容易に腐朽菌糸のボード内部への侵入を許し、これが接着劣化の大きな原因となるが、接着剤混入処理を導入すると、接着層における薬剤の保持と、効率的に接着層から木質エレメントへ薬剤成分が移行したため、低濃度で菌糸の攻撃作用を阻止できたと考えられた。しかし、腐朽に対しては、シロアリに対するよりも高い処理レベルが要求された。
接着剤中に難燃薬剤としてホウ酸アンモニウムを混合して積層材(LVL)を製造したところ、一定の含水率の単板を用いた試験体で優れた性能が得られた。また、薬剤成分の木質エレメントの移行状況の解析に、X線光電子分光法(XPS)を用いてホウ素(B)の分析を行ったところ、達成された性能と薬剤成分の分布との因果関係が明らかになった。さらに、高分子量のフェノール(PF)樹脂に低分子量のPF樹脂を混入してパーティクルボードを製造したところ、低分子量のPF樹脂だけが木質部に移行し、高い寸法安定性と生物劣化抵抗性が得られたが、その移動状況の解析にも、樹脂を臭素(Br)で修飾した後XPSによって分析することで可能になることが示された。

Research Products

• [Publications] Y.Imamura: "Production Technology of High-Durable Wood-Based Materials by Incorporting Preservatives in the Glue" Proceedings of the First International Wood Science Seminar. (1996)
• [Publications] W.Y.Su: "Improvement of Fire Retardancy of Plywood by Incorporation of Boron or Phosphate Compounds in the Glue" Preceedings of International Tropical Wood Conference. (1997)
• [Publications] W.Y.Su: "Enhancement of Fire Retardancy of Plywood by Incorporation of Boron or Phosphate Compounds in the Glue" J.Wood Sci.(発表予定).
• [Publications] Y.Imamura: "Distribution of Polymer in the Cell Walls and Its Effect on Decay Resistance in Wood-Composite" Biocontrol Science. (発表予定).
• [Publications] 今村祐嗣: "木材保存学入門" (社)日本木材保存協会, 416 (1998)