1997 Fiscal Year Annual Research Report
乾燥地域における持続的農業推進のための農業用水管理に関する研究
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08556038
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Research Institution | Kinki University |
Principal Investigator |
筒井 暉 近畿大学, 農学部, 教授 (90207415)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大槻 恭一 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 助教授 (80183763)
八丁 信正 近畿大学, 農学部, 助教授 (00268450)
渡辺 紹裕 大阪府立大学, 農学部, 助教授 (50175105)
荻野 芳彦 大阪府立大学, 農学部, 教授 (60032992)
小崎 隆 京都大学, 農学部, 教授 (00144345)
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Keywords | 塩類集積 / 乾燥地域 / 排水改良 / 用水管理 / 衛星画像 / リーチング / 潅漑用水 / 持続的農業 |
Research Abstract |
前年度の研究が、3ヶ国(カザフスタン、パキスタン、エジプト)の潅漑農業に係わる全般的な情報の収集行いマクロのレベルから検討を行ったのに対して、本年度はカザフスタン(クジル・オルダ左岸潅漑地区)、パキスタン(パンジャブ州、ファイサラバード周辺地区)について地域を限定し、一定の条件下での塩類集積メカニズムの解明と、用水管理の影響について重点的な研究を行った。 この結果、単位用水量の絶対的な不足の見られるパキスタンにおいては、水路の上流-下流間で不平等な水配分が行われ、適正な水配分を受ける事のできない下流端では、塩分を含んだ地下水に依存した潅漑が行われ、塩類集積に拍車をかけている。また、パキスタンにおいては圃場レベルの地表排水施設が不足しており、これが集積した塩分をリーチングする場合の阻害要因になっているように考えられる。カザフスタンにおいては、用水量は比較的豊富であるものの、排水施設の老朽化、維持管理不足による荒廃により、その機能が十分発揮されておらず、ウオーターロッギングおよび塩害の大きな原因となっている。また、輪作体系の中に水稲作を組み込む事により畑作により集積した塩類をリーチングする営農が行われているが、排水が不十分なため、水稲作に伴う地下水位の上昇が周辺畑地の塩害に結びついているものと考えられる。両地区においては塩類集積の状況を、衛星画像によりマクロ的に把握し、用水路の下流端や排水不良であると考えられる地域において塩類の集積が激しい事を明らかにした。また、エジプトについてはナイルデルタのエル・サラーム水路下流域を対象とする事とし、地域を限定した研究に着手した。この地域の衛星画像も入手し、マクロレベルでの塩類集積の状況と、水路の配置、排水状況の観点からパキスタン、カザフスタンと同様の検討を行い、最終的な水管理モデルの策定を開始した。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 荻野 芳彦、八丁 信正、 筒井 暉: "Salinization and Water Management in the Arid Region with Emphasis on Kazakhstan." 農業土木学会英文誌:Rural and Environmental Eng.34. 7-14 (1998)
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[Publications] 小崎 隆、船川 晋也, 他: "中央アジア乾燥地・半乾燥地の土壌と農業" 日本カザフ研究会. 10. 63-95 (1997)
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[Publications] 荻野 芳彦、渡辺 紹裕, 他: "Salinity Conrtol and On-farm Water Management of Paddy Based Farming System-A Case Study for Ilyasoy Cooperative Farm" International Workshop on Sustainable Use of Natural Resources of Central Asia.(1997/9/9-9/11) Kazakhstan. 29-35 (1997)
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[Publications] 大槻 恭一: "Salinity Control Management in Australia" 農業土木学地球環境研究フォーラム1998/2/7奈良. 67-73 (1998)