1997 Fiscal Year Annual Research Report
獣医臨床領域における心疾患の診断治療システムの確立とその応用に関する研究
Project/Area Number |
08556050
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菅野 茂 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (70111482)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
局 博一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (30142095)
小山 秀一 日本獣医畜産大学, 医学部, 講師 (20162084)
萩尾 光美 北里大学, 獣医畜産学部, 教授 (20128359)
若尾 義人 麻布大学, 獣医学部, 教授 (20063969)
内野 富弥 動物MEリサーチセンター, センター長
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Keywords | 循環器疾患 / 心不全 / 僧帽弁閉鎖不全症 / イヌ / マルチーズ / キャバリアキングチャールズスパニエル |
Research Abstract |
僧帽弁閉鎖不全症(MR)は、小型犬に多く見られる代表的な心疾患である。今回、過去5年間において開業獣医師または大学の家畜病院に来院し、MRと診断された犬種のうち、マルチーズ(108例)、キャバリアキングチャールズスパニエル(45例)についての各種調査を行った。MRの診断は聴診において僧帽弁口部に最強点を有する収縮期逆流性雑音が聴取された症例のうち、単純X線撮影において左房拡大が認められるか、断層心エコーで僧帽弁肥厚、僧帽弁逸脱、僧帽弁腱索断裂、左室拡張末期径の増大、左房拡大のうち4項目以上が確認され、他の心疾患の合併が認められない例をMRと判断した。マルチーズに関して、MR症例の雌雄比は雄が雌の約1.4倍であり雄に多く発生する傾向が認められた。心雑音が最初に発見された年齢は5歳であったが、最多聴取年齢は9歳であった。MRと診断されてから左心不全により死亡するまでの期間は、12ヶ月以内の死亡例数が58%、それ以上の生存例数は42%であったが、全体の84%は24ヶ月以内に死亡した。また、心不全による死亡率は雄54%、雌32%と雄の方が高かった。キャバリアに関しては、MR症例のうちもっとも若い例は1歳8ヶ月で、2歳までに10.4%、4歳までに60%が罹患するといった若齢期における発症が特徴的であった。雌雄差については、マルチーズと同様、雄で発生率が高かった。また、心電図検査においてMRの有無にかかわらずQ波の増高が認められ、キャバリアの心電図学的特徴と考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Masayoshi Kuwahara et al: "Electrocardiogram from the longest-living race horse in Japan:Legendary race horse Shinzan" J,Equine,Sci.8(2). 39-42 (1997)
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[Publications] 桑原正貴 他: "競走馬における心拍変動パワースペクトル解析による自律神経機能の評価" 馬の科学. 34(1). 8-14 (1997)
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[Publications] 桑原正貴・菅野茂: "高脂血症がブタの右心房ペーシング負荷に対する心血管系反応に及ぼす影響" 動物の循環器. 30(1). 7-13 (1997)