1996 Fiscal Year Annual Research Report
言語規則の研究(後期ウィトゲンシュタイン、クリプキ、チョムスキーを通して)
Project/Area Number |
08610010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
管 豊彦 九州大学, 文学部, 教授 (50091385)
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Keywords | 規範性 / 規準 / 志向性 / 因果性 / 錯覚論法 / 記述の理論 |
Research Abstract |
言語規則がもつ規範性を自然主義的に、すなわち、ディスポジションを通して解明できるとする還元主義的見解(例えば、マッギン)があるが、それに対するクリプキの批判を受入れ、規則は公共的言語共同体の内ではじめて可能になることを解明するとともに、クリプキに対して、その言語共同体とは記号を解釈するための記号体系(座標軸)のことではなく、実在的な共同体であることを明らかにしようとした。その点を展開するために、ウィトゲンシュタインの「規準」の概念に対する反実在論的なC.ライトの解釈を退け、実在論的解釈の可能性を示した。(以上、論文「規則の了解」)。 この「規準」についての解釈をウィトゲンシュタインの『哲学探究』のテキストの解釈に止めず、より広い視点から捉えるために、志向性(特に知覚)についての記述主義的解釈(S.サール等の)を退けるとともに、錯覚論法等を通して導入される知覚像と対象といった二元論を退け、直接知覚説を擁護し、志向性と因果性の関係を解明しようとした。(以上、論文「志向性と世界」) 知覚像と対象、観念と対象というこの二元論の図式は「枠組みと内容」「言語と所与」といった二元論(クワイン)に通じるものであり、デイヴィドソンのクワイン批判を検討することによって「枠組みと内容」の二元論を退けるとともに、デイヴィドソンの問題点を明らかにすることによって、志向性と因果性の関係を解明することが次年度の課題である。
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Research Products
(2 results)