1996 Fiscal Year Annual Research Report
生と死に関する概念と思想の現像学的・言語論的分析に基づく倫理の構築
Project/Area Number |
08610037
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
篠 憲二 東北大学, 文学部, 教授 (20086119)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊野 純彦 東北大学, 文学部, 助教授 (00192568)
清水 哲郎 東北大学, 文学部, 教授 (70117711)
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Keywords | 生と死 / 生命倫理学 / 臨床哲学 / 尊厳死 / 安楽死 / Quality of Life / 現象学的分析 / 言語論的分析 |
Research Abstract |
1.分担者は各自のテーマに沿った研究を進め、その成果の集約と吟味のため、公開の研究会を3回開催し、ディスカッションを行った。そのテーマと報告者は以下の通り。 第1回:「死と所有をめぐって」熊野純彦 第2回:「現象学の系譜における生死の問題」篠 憲二 第3回:「Quality of Lifeと生死の選択」清水哲郎 2.本年は第一年目であるため、以上の研究会の議論を通して得た共通認識をまとめる段階ではないが、それぞれのテーマにおいて、当初の研究目的を決定するにあたって見込んでいたことを達成しつつある。すなわち、〈生〉と〈死〉をめぐって、生命倫理学が関わる諸問題に取り組むための基礎的作業として、〈生〉・〈死〉の概念およびこれをめぐる思想を思想史的展望をしつつ、哲学・倫理学的に分析し、それに基づいて現実の問題を取り扱うための方法なしい視点を確立することを目的とする、という点である。 代表者篠は、現象学の系譜について今年度発表に至った作業に基づいて、生死の問題への現象学的アプローチを試してみる。分担者熊野は、社会的視点から生ないし死が誰のものかという問題提起をし、従来の生命倫理の議論への批判的視点を形成しつつある。分担者清水は、終末期医療の現場に密着しつつ、そこで語られる医療関係者のことばをテキストとして、人の生のよさと死の問題を考えている。 3.各分担者は、機会に応じて学会において、また他大学、他分野の研究者の前でこの課題に関わる発表をし、ディスカッションを通して考察を深めている(清水:第一回緩和医療学会、東北大社会科学の方法研究会、大阪大学臨床哲学研究会、熊野:大阪大学臨床哲学研究会など)。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 清水哲郎: "〈尊厳ある死〉の考え方" 『癌治療と宿主』. 9-1. 19-24 (1997)
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[Publications] 清水哲郎: "緩和医療とQOL" 『月刊薬事』薬業時報社. 39 (3月号). 53-57 (1997)
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[Publications] 熊野純彦: "死と所有をめぐって" 『モラリア』. 4(印刷中). (1997)
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[Publications] 熊野純彦: "所有することのかなたへ(上)" 『思想』. 4月号(印刷中). (1997)
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[Publications] 熊野純彦: "所有することのかなたへ(下)" 『思想』. 5月号(印刷中). (1997)
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[Publications] 篠憲二: "現像学の系譜" 世界書院, 220 (1996)
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[Publications] 清水哲郎: "医療現場に臨む哲学" 勁草書房(印刷中), 225 (1997)