1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08610069
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
瀧川 哲夫 北海道大学, 文学部, 教授 (30098503)
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Keywords | ハイパーゲーム / メタゲーム / 葛藤解決 / 交渉場面 / 決定支援 |
Research Abstract |
本年度においては、予備調査をおこない、ハイパーゲーム分析の実用化を確認した。予備調査で取り上げた交渉場面は、いじめ問題と老人介護問題の2つの状況である。いじめ問題では、いじめがもたらした傷害事件の判例を、子供、親、教師、警察というそれぞれの立場のプレイヤーによるハイパーゲームと定義し、コンフリクト解析をおこなった。老人介護問題では、介護を必要とする高齢者とその介護をおこなう家族という2つの立場のプレイヤーによるハイパーゲーム分析である。 いずれの分析においても、ハイパーゲーム手法がコンフリクト解析に適用可能であることが判明したものの、心理学的な妥当性についてはいくつかの問題が明らかとなった。たとえば、主観的選考順序は事前に静的に決まるものとは考えられず、結果に至るシナリオ作成が机上のシミュレーションとして考えられている状態と、実際にゲームが展開されていく過程とは異なることが指摘された。たとえば、sunk costの影響が展開型のゲームでどのように評価されていくかを調べる必要がある。 また、真実のゲーム構造は、プレイヤーの選択選択肢の組み合わせとして、該当するセルが実現するときに、そのセルのみが明らかにされる。したがって、他のセルがどのような現実的結果として生成されるかは両プレイヤーには知られない。ハイパーゲーム分析ではそれで終了するが、現実の対人関係の仮説修正過程では、部分的な情報開示が積み重なって各プレイヤーの近くされたゲームが変化していく。このような状況をどのようにゲーム分析に加えるかが課題となる。 来年度においては、本年度のこれらの成果にもとづいて、ハイパーゲーム分析手法を拡張する予定である。
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