1996 Fiscal Year Annual Research Report
幼児の仲間関係に影響を及ぼす親の諸要因に関する研究
Project/Area Number |
08610101
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
戸田 須恵子 北海道教育大学, 教育学部・釧路校, 教授 (70271715)
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Keywords | 仲間関係 / 母親の養育態度 / 権威主義的養育スタイル / 権威的養育スタイル / 許容的養育スタイル / 家族の機能 / 向社会的行動 / 問題解決 |
Research Abstract |
幼児の仲間関係に影響を及ぼす親の諸要因を検討する事を目的として研究を進めた。本年度は、データ収集が予定されていた。予備調査として、仲間関係に関する幼児への面接と親への質問紙収集を行った。しかし、一幼稚園の親から、幼児へ仲間関係について面接する事に対し反対があった。そのため、幼児への面接はこの研究から除外された。これに伴い、その幼稚園の親からの質問紙も途中で中止した。現在は、他の幼稚園でデータを収集中である。収集状況が思わしくなく、9年度も引き続きデータを収集する予定である。この予備調査では、大規模な幼稚園であったため、一部の質問紙は約190のデータが収集された。従って、予備的にデータ分析を行った。この分析に使用したデータは、幼稚園での子どもの行動評価(先生記入)、母親の養育態度、行動、信条、家族関係、夫婦関係に関する質問であった。まず、母親の養育態度に関しては因子分析を行った。その結果、第一因子として、権威主義的な養育スタイル(統制:高、温かさ:低)、第二因子として、権威的な養育スタイル(統制:高、温かさ:高)、第三因子として許容な養育スタイル(統制:低、温かさ:高)が抽出された。権威主義的な養育スタイルは、幼稚園での向社会的行動や仲間に対する親しみやすさと正の相関を示し、従来の研究とは異なる結果を示した。さらに、母親の権威主義的な養育スタイルと夫婦関係や家族の機能との関連を検討したところ、家族の機能の「喧嘩とストレス」因子と関連があった。又、母親は、子どもに対して、競争心や奨励するような態度を示す傾向が見られ、夫婦間の問題も喧嘩による解決方法をとるといった極めて過激的な母親像を示した。現在収集中のデータからも同じ傾向がでるかどうか興味のあるところである。これらの結果は、1996年の日本発達心理学会、ISSBDで発表し、1997年の日本発達心理学会、SRCD等の学会でも発表する予定である。
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