1997 Fiscal Year Annual Research Report
幼児の仲間関係に影響を及ぼす親の諸要因に関する研究
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08610101
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
戸田 須恵子 北海道教育大学, 教育学部・釧路校, 教授 (70271715)
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Keywords | 養育スタイル / 権威主義的養育スタイル / 権威的養育スタイル / 社会的行動 / 攻撃的行動 / 仲間関係 / いじめ |
Research Abstract |
本研究は仲間関係に影響を及ぼす要因として親や家族に焦点をあて、その構造を明らかにすることを目的としてデータを収集した。データ分析の一部、母親の養育スタイルと子どもの社会的行動(攻撃性、向社会的行動、情緒性、消極性)との関係は分析が完了した。ここでは母親の養育スタイルと幼児の攻撃的行動との関係を報告する。養育スタイル項目(62項目)は因子分析を行い、第1因子として権威主義的養育スタイル(統制:高、応答性:低)が抽出された。即ち、子どもに対して受容力は低く、統制力が強い母親像である。この養育スタイルは子どもの攻撃的行動とは負の相関を示した。第2因子として権威的養育スタイル(統制:高、応答性:高)が抽出された。この権威主義的な養育スタイルの下位因子「言語的説明」(しつけや行動について子どもにことばで説明する)、は子どもの攻撃的行動の下位因子「犠牲的」と正の相関を示した。即ち、この養育スタイルの母親の子どもは友達からいじめられやすいという結果である。今日、いじめが社会的な問題となっているが、それらは幼児期の親の育て方と関連していることが本研究で明らかになった。子どもに対して温かく、子どもとは気楽につき合うような養育スタイルと仲間から意地悪されると臆病になったりそこから逃げ出すといった子どもの行動と関連していた。又、親密な関係を持った養育スタイルと(一緒に遊んだり冗談を言い合ったり、悩んでいる事があれば話すよう子どもに促す)、意地悪する仲間に対して攻撃的ではなく言葉で立ち向かうといった行動をとる一方で、仲間をいじめることを考えるといった子どもの行動と関係が見られた。未分析のデータから、このような母子関係の背後にどのような家族関係や夫婦関係、性格特徴などが見られるのかその構造を明らかにしていきたい。これらの成果は発達心理学会、米国児童心理学会、国際行動発達学会で発表した。
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Research Products
(1 results)