1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08610128
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Research Institution | KOBE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小椋 たみ子 神戸大学, 発達科学部, 教授 (60031720)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
綿巻 徹 愛知県心身障害者コロニー, 発達障害研究所・能力開発部, 室長 (70142172)
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Keywords | マッカーサー乳幼児言語発達質問紙 / 標準化 / ことばと身振り / ことばと文 / 個人差 / 日米比較 |
Research Abstract |
米国で開発された親の報告から乳幼児のコミュニケーション・言語能力を評価するMacArthur Communicative Development In vent ories日本語版(「ことばと身ぶり」版と「ことばと文」版)の標準化作業を行った。「ことばと身ぶり」版は松江市、神戸市、春日井市、名古屋市、刈谷市、小田原市の8-18ヶ月児1064名、「ことばと文」版は神戸市、春日井市、松江市の18-30ヶ月児(データ収集は36ヶ月まで行ったが、今回の分析は30ヶ月)1163名の保育所児のデータを分析した。各質問項目の年齢推移の傾向、各下位領域の尺度の信頼性、質問紙を構成している下位領域間の関係について検討した。また、Fenson et al.(1993)、Fenson et al(1994)の米国の標準化データとの比較も行った。以下に本研究の結果から明らかになったことを記す。第1の結果は信頼性についてである。「ことばと身ぶり」版、「ことばと文」版とも、下位尺度の内的整合性信頼係数はきわめて高かった。第2に年齢推移についてであるが、身ぶり、ことばの理解、語彙理解、語彙表出、複雑な文の表現とも年齢推移を示していた。今回、新たに開発した文法の発達に関する項目は、日本の子どもの文法発達、とりわけ、日本語文法の基本部分である助詞の発達と、初期段階の統語の発達を非常によくとらえていた。米国児との比較を行うと、身ぶり、語彙、文法のすべての下位領域で3-4ヶ月の遅れが見られたが、カーブは非常によく類似していた。その遅れの原因が質問紙回答の際の親の意識の違いなのか、子ども自身の発達に差があるのか、今後、家庭で養育されている子どものデータを含めて、検討していきたい。また、こうした発達傾向とともに、身ぶり、言語とも大きな発達の個人差があることも見出された。その他、語彙サイズと文法の関係、身ぶりと語彙理解、表出の関係、語彙理解と語彙表出の関係などを明らかにした。
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Research Products
(1 results)