1998 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児と母親及びきょうだいとの争いやからかいに見られる情動調律と他者の心の理解
Project/Area Number |
08610157
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Research Institution | Kokugakuin Junior College |
Principal Investigator |
金谷 有子 國學院短期大学, 幼児教育科, 教授 (00177502)
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Keywords | 家族のコミュニケーション / 感情のぶつかり合い / 親和関係 / 共感性 / 情動調律 / 家庭の情緒的雰囲気 / 心の理解 |
Research Abstract |
15組の家庭を対象としてそれぞれの家庭での情緒的コミュニケーションの諸相を対象児が乳児のときから縦断的にビデオ記録してきた。日常の家庭生活でのやりとりに焦点を当てたのはそこに家族一人一人の欲求、願望、意図、情動が複雑に絡み合って現出されること、そして子どもはそのような家族とのやりとりを体験なかで自分のみならず他者の多様な心的世界を発見していくと考えられるからである。今年度の研究の焦点は、3歳半になった対象児の自他の心の理解の発達を探るためのデータを収集し、それを分析することにある。データは8ミリビデオカメラを各家庭に貸し出し、母親に子どもと家族の日常の自然場面を撮影してもらうことによって収集した。必要な場面としてお願いしたのは遊び場面と、日常の生活場面である。これら撮影された場面から自他の心がぶつかり合う場面や心が通い合う場面を抽出し、プロトコルを記述した。 プロトコル分析によって明らかにされたことは次の点である。母子、父子、あるいはきょうだいとのふざけっこやからかいのやりとりのなかに親和関係や共感性が表現されていること、さらに家族やともだちとの気持ちや意図の行き違いや、感情のぶつかり合いや対立のやりとりが情動調律と他者の心の理解へのきっかけになっていることである。子どもは調和のある楽しいやりとりのみならずぶつかり合いとその調節を経験することによって自他の心の理解を次第に発達させると考えられる。また楽しさの表出やぶつかり合いの情動調律にはそれぞれの家庭による違いが多く見られた。各家庭において家族の成員による相互作用のあり方の違いが各家庭に特徴的な情動調律を形作り、それが各家庭の情緒的雰囲気の違いを特徴づけている。この違いが子どもの心の理解と関係があるかについてさらに検討中である。
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Research Products
(1 results)