1996 Fiscal Year Annual Research Report
農村地域社会における地域医療・福祉システムの展開過程
Project/Area Number |
08610170
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
永井 彰 東北大学, 文学部, 助教授 (90207960)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水上 英徳 東北大学, 情報科学研究科, 助手 (50280889)
加藤 眞義 東北大学, 文学部, 助手 (60261559)
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Keywords | 地域医療 / 地域福祉 / 地域社会学 / コミュニティ・ケア |
Research Abstract |
長野県武石村および岩手県沢内村において聴取調査をおこない、以下の点が判明した。 1.長野県武石村 (1)武石村診療所長・矢島嶺は、成人病は老化現象であり、高齢者医療にとってもっとも重要なのはキュアよりもケアであるという考え方にたっていた。矢島は、地域において大切なのは福祉であり、医療はそのバックアップとしての役割を果たすべきという医療観を持っていた。この考え方が、福祉と医療の垣根をこえた地域医療・福祉のシステムづくりの原動力として機能してきた。 (2)こうした医療観は、役場の担当課職員、ディサービス施設の職員や訪問看護婦などにも浸透しており、武石村における地域医療・福祉の担い手たちが矢島との共同作業のなかで育てあげられてきている。 (3)矢島医師が、96年4月に長野大学教授に転出した。後任の寺島医師も、矢島医師の考え方を理解しており、また周囲の職員たちも現在の地域医療・福祉のシステムを維持していくだけの力量を備えている。システムづくりの中核となった医師が退職すると、そのシステムそのものが大きく変質する例も少なくないなかで、武石村の地域医療・福祉システムは、安定している。 2,岩手県沢内村 (1)昭和30年代から村民の「生命を守る」ことを課題として構築された地域医療・福祉のシステムが、高齢化を迎えて再編成をせまられている。 (2)とりわけ、病院隣接地に建設予定の特別養護老人ホームと、沢内病院との連携をどうはかっていくかということが現在では大きな課題となっている。
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