1997 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者介護の介護者支援システムに関する研究-家族介護者に対するレスパイト・サービスの有効性の検証を通して-
Project/Area Number |
08610203
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
天野 マキ 東洋大学, 社会学部, 教授 (50106035)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩見 恭子 種智院大学, 仏教学科, 教授 (60086056)
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Keywords | 高齢者介護 / 介護者 / 家族介護者 / インフォーマル・サポート / サポート・システム / レスパイト・サービス / ソーシャル・サポート / ソーシャル・ウェルフェア・ポリシィ |
Research Abstract |
要介護高齢者及び家族介護者の生存権・生活権を共に保障出来るサポート・システムの解明を目的に研究をすすめてきた。具体的には、家族介護への依存性が高く高齢者による高齢者介護も仮説されるところから、介護実態調査を実施し、介護者サポートのためのレスパイト・サービスの有効性を検証することを意図してきた。 1996年度には、収集した基礎資料をもとに調査票の完成を急いできたが、1997年4月に、天野が、埼玉県蕨市の障害者行動計画のための実態調査を委託されたため、当該研究のために作成した調査票の内容の一部を蕨市の障害者実態調査のための調査票に合体し、蕨市在住の高齢者とその介護者への調査を完了した。障害をもつ高齢者が在宅で生活する場合、その介護者の負担は一層重くなるであろうと推察され、レスパイト・サービスへのニーズもその分、高くなるであろうと仮説されるので、その仮説の検証も蕨市障害者実態調査に期待された。 蕨市在住の障害をもつ高齢者及びその介護者への調査からは、極めて、注目すべき結果が得られた。先ず、仮説通り、障害をもつ高齢者に対する家族介護の比率は高く、50%以上の介護者が、精神的、肉体的疲労や、苦痛を感じていることが明らかになっていた。特に、肉体的疲労や苦痛より、精神的疲労や苦痛の比率の方か高くなっていたことは興味深い。介護者のレスパイト・サービスへの期待や希望の比率は高く、40%以上の介護者が、レスパイト・サービスの意味を理解し、その上で期待し希望していることが分かり、印象的であった。障害者施策では、すでに、レスパイト・サービスが自治体レベルで実施されていることもあり、高齢者の介護についても、期待の深まることが仮説される。蕨市の調査については、調査票作成から調査の実施過程について、岩見も京都から出張して参加した。高齢者へのレスパイト・サービスに関する継続調査は1998年度の課題である。
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