1996 Fiscal Year Annual Research Report
市町村保健福祉計画の計画行政学的視点からの評価に関する研究
Project/Area Number |
08610214
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Aichi Mizuho College |
Principal Investigator |
西 三郎 愛知みずほ大学, 人間科学部・学, 部長・教授 (00077190)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 牧子 愛知みずほ大学, 人間科学部, 講師 (40257738)
竹中 英紀 愛知みずほ大学, 人間科学部, 講師 (30257737)
西原 香保里 愛知みずほ大学, 人間科学部, 講師 (60172681)
平岡 公一 明治学院大学, 社会学部, 教授 (10181140)
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Keywords | 老人保健福祉計画 / 計画行政学 / 人口構造 / 家族 / 地域社会 |
Research Abstract |
大都市の中心市街地として東京都台東区、地方都市として愛知県豊田市を選定し、両区市における老人保健福祉計画の内容および実施状況を検討した。その結果、老人保健福祉計画の評価には、人口や高齢化率、財政状況などに加えて、世帯や家族、地域社会の構造を考慮に入れることが必須であることが考察された。 台東区は総人口159,723人中、65歳以上の高齢者人口は27,886人(高齢化率17.5%)、うち75歳以上の後期高齢者人口は11,763人(7.4%)と、非常に高い高齢化率を示している(平成5年4月1日現在)。これに対して豊田市では、総人口336,632人中、65歳以上14,862人(7.2%)、75歳以上9,327人(2.8%)と、台東区や全国平均(13.5%)と比べても、きわだって低い。 台東区の地域保健福祉計画目標数値は、老人保健施設が現況1か所(区外施設入所)38床から2か所150床、在宅ケア支援センターが1か所、特別養護老人ホーム入所者数が現況328人から443人、高齢者在宅サービスセンターが3か所から11か所、在宅介護支援センターが1か所、それぞれ増加を計画している。これに対して豊田市の目標数値は、老人保健施設が現況2か所190床から3か所328床、特別養護老人ホームが現況2か所100床から3か所348床への増加を計画している。 総人口では豊田市が台東区の2倍以上に達しているにもかかわらず、65歳以上の単独世帯数は台東区が4,214世帯、豊田市では1,199世帯と大きな開きがあり、世帯構造の点でも対照的である。この背景として、豊田市はトヨタ自動車を頂点として、その関連・下請企業が多数立地する一大工業都市であるにもかかわらず、総面積の約5割が田畑・山林によって占められ、果樹栽培を筆頭に比較的豊かな農業経営が維持されているという点が大きい。 しかし豊田市の住宅市街地では、トヨタおよび関連・下請企業の成長とともに流入してきた核家族や単身者のなかから、公的な介護を必要とする高齢者が大量に出現するきざしも見えつつある。また農業地域においても、そのような介護の要求は多世代家族のなかで充足されるか、あるいは十分に充足されなくても、要求の声が家族の外に出ていかないことになりちである。この問題は、都市的な高齢化と介護需要の発生パターンとは異なる質を持つものとして受けとめていく必要がある。
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