1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08610381
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Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
小野 善彦 東北大学, 文学部, 教授 (90142885)
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Keywords | コンコルダート / 領邦教会 / 領邦司教座 / 帝国教会 / ランデスヘルの教会統治 / 所轄司教 / 教会と国家 |
Research Abstract |
帝国法上-領邦-宗派の原則を確立し、近世ドイツ国制史の一段階を画する。1555年のアウグスブルクの宗教和議は、プロテスタント領邦については、領邦教会制に道を開いたのに対して、カトリックの世俗領邦については、ランデスヘルと所轄司教との(権限)関係を未決定のままに残し、これを現実の発展に委ねたことから、以後カトリックの世俗領邦に於ては次第に進展するランデスヘルの教会統合と所轄司教との間でラントの教会支配権をめぐる紛争。軋轢が激発した。これを調停する試みが、両者間のコンコルダートの締結、あるいは領邦司教座新設構想であった。バイエルンに於ては、所轄司教の支配権・影響力をラントから大幅に排除する内容の後者が結局挫折し、他方前者(1583年)に於て所轄司教の教会裁判権・支配権が原理上承認され、しかも17-18世紀に補完協定によりこれが更に補強されてラントの教会・国家関係の基本法たる地位を占めていくことから、16-18世紀に所轄司教=帝国教会が、カトリックの世俗領邦における領邦主権の貫徹を阻害し続け、この方面から帝国国政を維持するポジティヴな役割を果していくのである。以上のことを具体的に解明した。
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