1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08620047
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
上田 寛 立命館大学, 法学部, 教授 (90093195)
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Keywords | 犯罪学 / ロシア連邦 / インターネット |
Research Abstract |
今年度の研究については、4つの方向で進められた。 まず、最近のロシアの犯罪現象の動態について、資料に基づき正確に把握することであり、第2に、犯罪対策の基本となる刑事立法、とりわけ新たなロシア連邦刑法典についての研究をすすめること、第3にこの領域での研究にインターネット環境を利用する方法の確立、そして第4に、刑法理論の基礎理論に関する研究である。 最初に大きな困難となったのは、ロシア連邦自体における統計作業の混乱と遅れであり、犯罪現象の正確な現状把握が遅れたことである。が、最近になって、1991年から1995年までの、正に問題の期間をカヴァーする統計資料を入手し得たので、その分析にかかりたい。 昨96年6月になって、待たれていた新ロシア連邦刑法典が登場した。これまで、草案をもとに進めてきた予備的考察を基礎に、その検討に取り組み始めている。三重大学の上野達彦教授と共同で、刑法典正文の翻訳紹介についても作業を開始している。 ロシアの関係領域でのインターネットの利用については、通信上でのロシア語処理の問題を含め、一定の検討を進め、その結果を雑誌論文として公表した(「インターネットで外国法(11):ロシア法」法学セミナーNo.507[1997年3月号])。 刑法の基礎理論に関係する研究課題は当初予定されていなかったものであるが、恩師の古稀祝賀の機会に献呈した論文において、犯罪と刑罰を法的に捉え、対応する上で基礎となる刑事責任の本質について考察を進める機会を得た(「刑事責任の実質をめぐって-『ソビエト刑法』とは何であったのか-」『中山研一先生古稀祝賀論文集第3巻・刑法の理論』[1997年2月刊])。
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