1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08630015
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
高木 彰 立命館大学, 経済学部, 教授 (40032700)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小塩 隆士 立命館大学, 経済学部, 教授 (50268132)
平田 純一 立命館大学, 経済学部, 教授 (00143818)
岩田 勝雄 立命館大学, 理工学部, 教授 (60066735)
鈴木 登 立命館大学, 経済学部, 教授 (20140121)
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Keywords | 自己組織性 / ゆらぎ / 経済システム / サイバネティックス原理 |
Research Abstract |
現代の資本制経済は、情報段階として規定される。それは従来の資本制経済の作動原理が「機械原理」に立脚するものであったことに対して、「サイバネティックス原理」によるものであることを意味している。そのような原理的転換こそが、資本制経済の基本的なあり方を大きく変容させているのであり、そこに同じく資本制経済でありながら、機械段階と情報段階とにおける決定的な相違点が存在するのである。それが経済学のパラダイム転換の内実である。サイバネティックス原理に立脚する経済学として、本研究において明らかにしえたことは、第一に、価値論における重層構造、階層性についてである。それは労働価値論を基底的なものとして、その上に固有価値論、或は創発価値論としての構成的関係として捉えるということである。第二に、経済システムの自己組織性のもつ意義についてである。それはシステムを構成する要素の自律的運動において経済秩序が形成されるものとして捉えるということである。第三に、現代物理学の成果の一つである「"ゆらぎ"を通しての秩序」 (I.プリゴジン)・散逸構造論についての検討に基づいて、経済学のパラダイム転換の意義を明確にしたことである。特に、ニュートン主義の科学から、プリゴジン主義の科学への転換は、経済学においては、経済システムの構成要素である経済主体(個人、企業)の自律的運動というミクロの経済活動とマクロの経済現象との連関を機構的に捉えることに対して、重要な示唆を与えるものである。又、"ゆらぎ"の役割を強調することは、個人やその創造的イマジネーションを重視することを意味しているのである。残された課題としては、「システム思考」についての研究を蓄積し、有機体論的世界観に立脚する経済学の展開を試みることである。
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[Publications] 鈴木登: "平成バブル不況にみる経済変動の性格と特徴" 立命館経済学. 46-2. 1-19 (1997)
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[Publications] 高木彰: "経済システムと自己組織性の理論" 立命館経済学. 45-6. 122-142 (1997)
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[Publications] 高木彰: "現代経済学における価値論について" 立命館経済学. 46-4. 19-44 (1997)
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[Publications] 高木彰: "現代市場と“ゆらぎ"を通しての秩序" 立命館経済学. 47-2/3/4. 3-17 (1998)