Research Abstract |
1.行列空間には,通常のノルムの他に,0<p<∞をパラメーターとして,p-半径ω_p(・)が導入されている。すべての要素が正の行列A,BのHadamard巾A^<(α)>,B^<(1-α)>と,それらのHadamard積A^<(α)>oB^<(1-α)>との半径に関して,通常のHolderの不等式に対応して,どんな不等式関係が成り立つかを追及して,次のような不等式を確立した: ω_<αρ+(1-α)σ>(A^<(α)>oB^<(1-α)>)【less than or equal】ω_ρ(A)^α・ω_ρ(B)^<1-α>o 2.4個の数a,b,c,dと,1/p+1/q=1の関係にある正の数1<p,q<∞に関して |ac+bd|【less than or equal】(|a|^p+|b|^p)^<1/p>・(|c|^q+|d|^q)^<1/q> という,いわゆるHolder型の不等式が成り立つ。数a,b,c,dを行列A,B,C,Dに置き換えたとき,行列の非可換性のため上の右辺の積は正定値とならないので,不等式自体が意味を持たない。それでは、行列の場合にも一般化できるためには,Holderの不等式をどの観点から把握すればよいかという考察から着手した。p=2の場合を除いては,行列不等式の形での一般化は不可能なことがわかり,その代わりにトレースを被せた形で,A,B【greater than or equ C,D【greater than or equal】0,C^q+D^q【less than or equal】I⇒Tr(CA+DB)【less than or equal】Tr(A^p+B^p)^<1/p> なる不等式がなり立つことを証明し,また関連した多くの行列不等式を確立した。
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