1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08650355
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Akita National College of Technology |
Principal Investigator |
長谷川 誠一 秋田工業高等専門学校, 電気工学科, 教授 (00042292)
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Keywords | 耐トラッキング性 / ポリマー絶縁材料 / シンチレーション放電 |
Research Abstract |
初年度は実験室規模でシュミレートして実験を行った。まず実際の降水中に含まれるイオンの分析結果^<1)>に基ずいて降水を模擬した溶液(人工酸性雨溶液)を作成した。これは実際の降水の500倍劣化が加速される濃度を持っているもので,これに各種試料を一定時間浸漬して表面の接触角などの測定後に耐トラッキング性試験を行った。供試材料は充填剤を含まない純粋材料を使用した。人工酸性雨に浸漬されたポリマー絶縁材料はいずれも表面の接触角が減少した。浸漬後の試料表面をSEMで観察した結果,人工酸性雨の化学的侵害によって生じたとみられる10μm前後の凹凸や欠損部が多数認められ,ポリマー絶縁材料が初期に持っている撥水性が失われていることが分かった。また耐トラッキング性試験の結果,トラッキング破壊時間も短くなることがわかり,ポリマー絶縁材料の耐トラッキング性は人工酸性雨によって低下することが分かった。^<2)>また試験中表面に発生するシンチレーション放電をビデオカメラおよびマイクロスコープによって観察した結果,放電発生個所が下部電極に集中しやすい試料は耐トラッキング性が弱く,反対に放電が試料表面各所に散乱するような試料は耐トラッキング性が強いことが分かった。次年度は人工酸性雨を吸湿したポリマー絶縁材料を冷凍して諸実験を行い検討する。 1)環境庁酸性雨対策委員会:第二次酸性雨対策調査:(1994) 2)長谷川誠一他:酸性雨による有機絶縁材料の劣化:秋田工業高等専門学校研究紀要第32号 15-18(1997)
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