1997 Fiscal Year Annual Research Report
ベニバナ花弁の紅色色素、カルタミンの全合成と絶対配置の決定
Project/Area Number |
08651016
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
佐藤 慎吾 山形大学, 工学部, 助教授 (30215793)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野寺 準一 山形大学, 工学部, 教授 (30007017)
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Keywords | ベニバナ色素 / 山葵墨入り病菌 / ワサビジエノンA / アシル基の転位反応 / サフラワーイエロ-B / モデル化合物 / 分解反応条件 |
Research Abstract |
1.一連のベニバナ色素の基本骨格は非常にユニークなキノカルコン構造を有しており、天然にはほとんど見られない。山葵の根元を黒変する山葵墨入り病菌(ペルオキシダーゼを生産する)の代謝物中には高度に酸化された化合物郡が含まれているが、これらの中にはベニバナ色素郡の基本骨格と同じケト-エノールご変異性体の混合物として存在する化合物がある。今回その中の一つワサビジエノンA(淡黄色色素)を、この気質特有のアシル基の炭素からβ位炭素上の酸素への転位反応を見いだすことにより、これを鍵反応に用いて合成することが出来た。この転位反応の前駆体は代謝物中にも存在しており、培養中においてもこの転位反応によってワサビジエノンAが生成することが示唆された。 2.当研究室で既に報告しているサフラワーイエロ-BからサフロミンAとカルタミン前駆体を経てカルタミンが生成するメカニズムについて、サフラワーイエロ-Bの二つのキノカルコン上の環状グルコースと水酸基をメチル基で置き換えたモデル化合物を合成し、その分解反応により生成メカニズムを明らかにすると共に未だ明確にされていないサフロミンAの糖鎖の構造の解析を目的とした研究については、はじめて鎖状の糖鎖を含むモデル化合物の合成に成功し、現在この分解反応の条件を検討中である。これまでのところ、予想していたように天然のBより安定であり、天然の分解条件と同じ中性の緩衝液中では反応は進行しないようだ。
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