1996 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
08660173
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
林田 光祐 山形大学, 農学部, 助教授 (10208639)
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Keywords | キタゴヨウ / 尾根 / 更新 / 立地 |
Research Abstract |
キタゴヨウ林はブナ帯のやせ尾根上などの限られた狭い立地に成立している。この尾根上のキタゴヨウ林の成立立地条件を明らかにし、キタゴヨウ林がどのような機構で維持されているのかを検討していく。 1、調査地の選定 ブナ帯に位置する尾根上のキタゴヨウ林を東北地方を中心に広範囲に調査するために、購入した植生図と空中写真から調査候補地を選定し、現地踏査を行った。踏査の結果、山形県の飯豊連峰、吾妻連峰および月山の北に位置する今熊山などを調査地とした。 2、尾根の微地形と林分構造との関係 飯豊連峰と今熊山において、尾根の微地形(斜度、尖度など)と林分構造(胸高直径など)を調べた。その結果、尖度が高い尾根上ではキタゴヨウが優占し、逆に尖度の低い尾根上ではブナまたはミズナラが優占した。これら3種の優占度は斜度よりも尖度によって決定されていることが分かった。 飯豊連峰では、過去に計測された標識個体のデータをもとに尾根上に生育しているキタゴヨウの生死と成長を調べた。その結果、キタゴヨウは西向き斜面に個体数が多く、進階率は中央、西向き斜面、東向き斜面の順に高かった。枯死率は東向き斜面が最も高かった。これは冬季季節風に対して、東向き斜面が風背側、西向き斜面が風衝側にあたることから、斜面方位によってみられるキタゴヨウ林の動態の違いが冬季季節風によってもたらされる積雪と密接に関係していることが考えられる。 3、種子と球果の形態と種子散布様式 今年度はどの個体群もほとんど結実しなかったため、種子や球果がほとんど採集できなかった。来年度の課題として残った。
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