1997 Fiscal Year Annual Research Report
アジア型持続的農業のファーミングシステムに関する予備的研究
Project/Area Number |
08660277
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
藤本 彰三 東京農業大学, 農学部, 教授 (80147488)
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Keywords | 東南アジア / 持続的農業 / ファーミングシステム / 農業経営 |
Research Abstract |
本研究は、国内外において小規模家族経営の持続的発展方向をエコエコ農業経営の確立にあると認識し、とくにファーミングシステムの現状と改善方向を検討することを目的とした。すなわち、水田農業のみならず畑作農業経営を対象として、一般的な栽培方式といわゆる代替農業的栽培方式との比較検討によって、生態的・経済的視点からバランスのとれた新しいファーミングシステム確立への示唆を得ることを狙いとして、国内では笠間市と上越市、また国外ではインドネシアを中心に実態調査を行った。日本国内における環境保全型稲作確立の課題は次の5点に凝縮できる。第1は農薬の航空散布で、環境保全型技術の普及を阻害している。それ以上の個別散布の中止あるいは予察体制の確立が望まれる。第2は除草で、除草剤使用を止めて、鯉や鴨などによる生物的防除あるいは紙マルチなどの物理的防除技術を推進すべきである。第3に施肥量の節減が課題となっている。化学肥料に代えて堆肥や緑肥の利用を推進したい。第4に慣行栽培米とは別の乾燥調製施設が必要である。第5に直販の場合は事務的負担が増大する。以上のような課題を克服する技術体系と地域農業支援システムが開発されなければならないと考えられ、今後はより具体的な検討が必要である。 熱帯高地における野菜栽培も土壌流出、農薬依存、価格変動など生態的経済的問題を多く抱えている。インドネシア高地における実態調査から、たとえばキャベツとトマトの間作には病虫害抑制効果があり農薬節減が可能になることが明らかになった。すなわち、生物機能を活用した栽培方式の確立が環境保全型の農業経営を推進する可能性があることが明らかになった。今後、具体的な作物間相互関係を踏まえたファーミングシステムの構築が新たな農学研究方向であると認識された。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 藤本彰三: "東南アジア高地農業の課題-エコエコ農業の確立へ向けて" 国際農林業協力. 20(7). 2-18 (1997)
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[Publications] 藤本彰三: "西部ジャワ高地におけるトランパンサリ野菜栽培の経営評価" 東京農業大学農学集報. 41(4). 211-228 (1997)
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[Publications] 水野広祐 他: "東南アジアの経済開発と土地制度" アジア経済研究所, 314 (1997)
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[Publications] ANASE,M.et.al.: "REHABILITATION AND DEVELOPMENT OF UPLAND AND HIGHLAND ECOSYSTEM" Tokyo University of Agriculture Press, 287 (1996)