1996 Fiscal Year Annual Research Report
小型ピロプラズマ原虫の赤血球レセプター抗原の治療・予防法への応用
Project/Area Number |
08660364
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
渡来 仁 岡山大学, 医学部, 講師 (50175139)
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Keywords | 小型ピロプラズマ / Theileria sergenti / レセプター / ガングリオシド / 糖脂質 |
Research Abstract |
平成8年度における本研究の目的は、ウシの赤血球内寄生原虫である、Theileria sergentiの赤血球レセプターであるシアリルI型ガングリオシドを、ウシ赤血球膜から精製し、それを抗原としてシアリルI型ガングリオシドに対するモノクローナル抗体を作製することにある。 1、T.sergentiの赤血球膜レセプター(シアリルI型ガングリオシド)の精製。 ウシ赤血球を0.5%酢酸溶液で溶血させ赤血球膜を得た。得られたウシ赤血球膜にクロロホルム-メタノール溶液を加え、総脂質を抽出した。総脂質は、アルカリ処理を行った後、DEAE-Sephadex-A25カラムクロマトグラフィーにより、中性糖脂質画分ならびにガングリオシド画分に分けた。得られたガングリオシド画分をイアトロビーズカラムクロマトグラフィーにかけ、各ガングリオシドを精製した結果、GM3、シアリルパラグロボシド、シアリルi型ガングリオシドならびにシアリルI型ガングリオシドが精製された。 2、T.sergentiの赤血球膜レセプター(シアリルI型ガングリオシド)に対するモノクローナル抗体の作製。 T.sergentiの赤血球レセプター活性を持つシアリルI型ガングリオシドに対するモノクローナル抗体を作製するために、シアリルI型ガングリオシドならびにシアリルI型ガングリオシドと同じ糖鎖抗原をもつシアリルi型ガングリオシドを抗原として、モノクローナル抗体の作製を試みた。各ガングリオシドはリポソームにそれぞれ組み込み、BALB/cマウスに免疫した。免疫後、脾臓細胞とミエローマ細胞とを融合させ、シアリルI型ガングリオシドと反応性を示す抗体産生クローン(SHS-21)を得た。SHS-21抗体の特異性を調べた結果、SHS-21抗体は、シアリルI型ガングリオシドのみならずシアリルi型ガングリオシドとも反応することが分かった。 今後、得られたSHS-21モノクローナル抗体を用いて、in vitroでの赤血球へのT.sergentiの感染阻止試験を行い、SHS-21モノクローナル抗体による治療の可能性について検討する予定である。
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