一日一定時間帯に限った暑熱負荷によるヒトの体温調節機構の変化

1997 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 08670077
• Research Institution: Kanazawa University
• Principal Investigator: 紫藤 治 金沢大学, 医学部, 助教授 (40175386)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 桜田 惣太郎 金沢大学, 医学部, 講師 (00215691)
• Keywords: 暑熱適応 / 発汗閾値 / 概日リズム / 抗利尿ホルモン / アルドステロン / カテコールアミン

Research Abstract

本年度は一日一定時間帯に限る暑熱負荷の繰り返し後、発汗反応および血中エネルギー基質や種々のホルモンレベルがかつての暑熱負荷時間帯とそうでない時間帯でいかに異なるか検討した。
1.健康成人男性6名を被験者とした。対照実験開始10日以上前より、被験者の点灯、消灯時間を一定とし、被験者には強度の運動や長時間の入浴(シャワーは可)を許可しなかった。また、暑熱負荷時以外は28℃以上の環境下での生活を禁じた。対照実験の3日以上前より食事のチェックを行い、馴化後の実験の3日以上前は対照実験の前と全く同じ食事を摂った。
2.暑熱負荷は午後の4時間(14:00〜18:00時)とした。被験者はこの間、Tシャツ、パンツのみ着用し、環境温46℃、相対湿度20%の人工気候室内で生活した。
3.測定日、被験者はパンツのみ着用し、環境温28℃、相対湿度40%に設定した人工気象室に入った。熱平衡が得られた後、下腿温浴を30分間行った。この間、結腸温、皮膚温、発汗量、皮膚血流量などを30秒毎に記録した。また、温浴前30分前に前腕静脈より採血を行った。測定は暑熱馴化前後において、それぞれ午前と午後の2度行った。
4.暑熱馴化後、結腸温と発汗閾値が低下したが、その変化は午後でのみ有意であった。血中のトリグリセリド、グルコース、不飽和脂肪酸やカテコールアミン、アルドステロン、AVPレベルなどは暑熱馴化により有意に変化しなかった。
5.ヒトでは暑熱馴化により深部体温の調節域が低下するが、それら体温調節機能の変化はかつての暑熱暴露時間帯でより明確であることが示唆された。

Research Products

• [Publications] O.Shido et al.,: "The rmoeffector thresholds and preferred ambient temperatures of the FOK rat." Am.J.Physiol.(in press). (1998)
• [Publications] O.Shido,: "Can our thermoregulatory system anticipate temperature exposure?" Medical hypotheses. (in press). (1998)
• [Publications] 紫藤 治: "暑熱環境への適応-体温調節機能の変化" 地球環境. (in press). (1998)