1998 Fiscal Year Annual Research Report
日米のC型肝炎の臨床病理学的比較研究-長期経過観察症例を中心として-
Project/Area Number |
08670227
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
鹿毛 政義 久留米大学, 医学部, 助教授 (80148840)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐田 通夫 久留米大学, 医学部, 教授 (10162398)
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Keywords | C型肝炎ウイルス / 慢性肝炎 / 肝硬変 / 病理形態 / 地理学理学 / カナダ / 肝生検 / 組織計測 |
Research Abstract |
1. 北米症例のC型慢性肝炎の肝病理組織像の総括 昨年に引き続き、北米よりさらに症例を収集し、成人のC型慢性肝炎、合計82例について病理組織学的検討を行った。飲酒歴の有無について検討を行い、多飲酒者は検討対象から除外した。肝生検組織を、国際分類に基づいて4段階のStageに分類した。Stageの内訳は、Stagel:43、Stage2:13、Stage3:15、Stage4:11。炎症所見は、Stage3と4の症例(肝病変の進行した症例)では目立ったが、架橋性壊死はいずれの症例にも観察されなかった。肝病理組織所見の頻度は、リンパ球濾胞様浸潤が98%、胆管変化が94%、脂肪変性が61%と高頻度に認められた。ただし、リンパ球濾胞様浸潤は高頻度であったが、胚中心形成は認めなかった。胆管変化も高頻度に存在したが、変性の程度は軽度か中等度であり、高度の胆管破壊像は殆どなかった。肝細胞の不規則再生や肝細胞のdysplasia (Anthony)の頻度は、ともに10%と低率であった。 2. 本邦例と北米症例のC型慢性肝炎の肝病理組織学的対比検討の総括 C型慢性肝炎の対比検討の結果、病理形態学的基本像は同じであったが、相違点も明らかになった。胆管の変化の頻度は北米症例が高かった。とりわけ、細胆管の増生の所見は北米例に頻度が高かった。肝細胞の変性、壊死炎症反応形態は同じであったが、肝細胞の星芒状壊死(apoptosis)は本邦の症例の55%に観察されたが、北米例では5%と出現頻度は低かった。門脈域周囲の蜘蛛膜様線維化は、本邦例にも種々の程度に認められたが、北米例ではより明瞭に観察された。なお、米国C型慢性肝炎の検討(Lefkowitch,1993)では17.6%にアルコール硝子体が観察されているが、今回の検討では、北米および本邦例いずれにも認めなかった。
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Research Products
(1 results)