1997 Fiscal Year Annual Research Report
医学系学術論文で用いられる統計手法と今後の医学系教育における医学統計学の位置づけ
Project/Area Number |
08670381
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
村松 宰 北海道大学, 医療技術短期大学部, 教授 (10109423)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志渡 晃一 北海道大学, 医学部, 講師 (20206098)
加納 克己 筑波大学医学専門群, 社会医学系, 教授 (10101312)
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Keywords | 医学統計学 / ノンパラ検定 / コンピュータソフト / t-検定 / ロジステックモデル / オッズ比 / Coxハザートモデル |
Research Abstract |
我が国における医学教育における医学統計学の講義は公衆衛生字の時間枠の僅かな時間を割いて講義を割り当てている大学が多いが一部の単科医科大学の医療情報系の講座において専門家による質、量とも優れた講義、演習が実施されるようになりつつある。 しかしコンピュータソフトの普及とともに医学系学術論文で使用される統計手法の量も方法の種類も増加の一途をたどっているが,その使われ方においては誤用も目立ち,成績の評価に大きな影響を与えている。本研究は国内の医療系雑誌,及び紀要の33雑誌及び海外医学欧文誌2誌を対象にして1988年から1997年までの10年間における総説,短報,報告,資料を除く約2,300論文について統計手法の種類,使われ方を吟味した.医学論文で統計手法が使われた割合は国内で約50%弱、海外の欧文誌では67.9%であり近年、増加の傾向にある。国内誌で使われた手法は、単純記述統計を除いた解析的手法だけで42種類を超え,使用頻度の高い手法はt検定,相関と回帰、X^2検定が3大手法であり,次いで分散分析,因子分析であった。頻度が高かった手法について、その誤用について解析した成績では、対応がない場今に等分散の検定を行い、必要な場合にウエルチの方法を使っていたものは、対応のないt検定のうち約6%しかなかった。X^2検定では,約半数の論文で適切な使われ方がされていず、特に順序データでマンホイットニ-の適用が適切であるという例が多かった。相関分析ではピアソン係数が多く、スコア化して連続量データとしてピアソン相関係数を用いている例が多かった。多変量解析における因子分析などの誤用が目立ち、さらに最も基本的なサンプリングミスが20%にみられた。次に平成9年度は主に欧文誌との手法の頻度比較を検討した。欧文誌で最も多い手法は多重ロジステックモデルを使ったもので次いでX^2検定、ウイルスコクソン検定、オッズ比、カプラーマイヤー、コックスハザードモデルなどノンパラ検定や生存率分析の技法が多く国内誌との大きな相違であった。今後の我が国の医学教育における統計医学教育の質及び量の充実がさらに望まれる結果となっている。
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