1997 Fiscal Year Annual Research Report
アルコール代謝酵素遺伝子型のアルコール関連疾患リスクに関する計量的研究
Project/Area Number |
08670408
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
荻本 逸郎 久留米大学, 医学部, 講師 (30177159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂田 律 久留米大学, 医学部, 助手 (60258423)
西依 淳 久留米大学, 医学部, 助手 (30218226)
柴田 彰 久留米大学, 医学部, 助教授 (10113226)
福田 勝洋 久留米大学, 医学部, 教授 (60045416)
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Keywords | アルコール代謝酵素 / 肝障害 / 高血圧 / 糖尿病 / 飲酒量 / 疫学 |
Research Abstract |
1.目的:アルコール代謝関連酵素の遺伝型と、肝障害、高血圧、高脂血症、糖尿病などの疾患のリスクとの関係を明かにするために解析を行った。 2.方法:某製造業事業所の従業員の内、1996年8月から1997年9月までに人間ドックを受診した269名を対象者とした。飲酒喫煙行動に関する自記式調査票の記入と、爪及び検査済み血液の提供を依頼した。提供された検体からDNAを抽出し、PCR法によってアルデヒドデヒドロゲナーゼ2(ALDH2)遺伝子型を判定した。解析時にはWild type(ALDH2野性型ホモ)とNon-wild type(ALDH2変異型ホモとへテロ)の2群に分けた。また、調査票の飲酒に関する項目から一日平均アルコール摂取量を推定し、23ml/日以上を飲酒者、これ未満を非飲酒者とした。解析は、SASのLOGISTICプロシジャによって、疾患の有無による各要因のodds比を求めた。 3.結果:調査に同意して調査票に有効な回答をした者は165名であった。この内、健診結果未判明やDNA分析が終了していないものを除いた145名を解析対象者とした。遺伝子型の分布は野性型ホモ:62.1%、ヘテロ:31.0%、変異型ホモ:6.9%であった。非飲酒者における肝障害の有所見率は、Non-wildよりもWildの方が有意に高かった。また、高血圧と肝障害の有所見率は、遺伝子型を区別しない場合の飲酒者において非飲酒者より高かった。 Wild typeであることの肝障害に対するodds比は、単変量解析で2.6、層別解析の非飲酒者で3.3、性、年齢、遺伝子型、一日平均アルコール量に関する多変量解析で4.2であった。統計学的に有意ではないが、Wild typeであることは糖尿病でodds比が小さく、高尿酸血症でodds比が大きくなる傾向がみられた。飲酒者であることや飲酒量は、高血圧と肝障害でodds比が大きくなった。 次年度は今回の解析以降の対象者を加えて、さらに詳細な検討を行う予定である。
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