1998 Fiscal Year Annual Research Report
アルコール代謝酵素遺伝子型のアルコール関連疾患リスクに関する計量的研究
Project/Area Number |
08670408
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
荻本 逸郎 久留米大学, 医学部, 講師 (30177159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂田 律 久留米大学, 医学部, 助手 (60258423)
西依 淳 久留米大学, 医学部, 助手 (30218226)
柴田 彰 久留米大学, 医学部, 助教授 (10113226)
福田 勝洋 久留米大学, 医学部, 教授 (60045416)
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Keywords | アルコール代謝酵素 / 肝障害 / 高血圧 / 糖尿病 / 飲酒量 / 疫学 |
Research Abstract |
1. 目的:アルコール代謝関連酵素の遺伝型と、肝障害、高血圧、高脂血症、糖尿病などの疾患のリスクとの関係を明かにするために解析を行った。 2. 方法:某製造業事業所の従業員の内、1996年8月から1998年6月までに人間ドックを受診した358名を調査対象として、飲酒喫煙行動に関する自記式調査票の記入と、爪及び検査済み血液の提供を依頼した。提供された検体からDNAを抽出し、PCR法によってアルデヒドデヒドロゲナーゼ2(ALDH2)遺伝子型を判定した。解析時にはWild type(ALDH2野性型ホモ)とNon-wild type(ALDH2変異型ホモとへテロ)の2群に分けた。また、調査票の飲酒に関する項目からアルコール摂取量を推定し、月に2-4回以上1回につき23ml/以上摂取するものを飲酒者、これ未満を非飲酒者とした。また、1日平均摂取量と飲酒年数から累積飲酒量指数を求めた。解析は、SASのLOGISTICプロシジャによって、検診所見の有無による各要因のodds比を求めた。解析時には性別、年齢、喫煙指数(Blinkman Index)とBody Mass Index(BMI)で調整を行った。 3. 結果 調査に同意して調査票に有効な回答をした者は192名であった。この内、健診結果未判明やDNA型の判定が困難なものを除いた182名を解析対象者とした。遺伝子型の分布は野性型ホモ:65.4%、ヘテロ:28.6%、変異型ホモ:6.0%であった。 Wild typeであることの肝障害に対するodds比は、単変量解析で2.2で弱い有意性を示した。性、年齢、喫煙、BMI.遺伝子型、飲酒習慣に関する多変量解析で1.8と2に近いodd比を示したが、有意ではなかった。飲酒者であることや累積飲酒量は、血圧高値においてodds比がそれぞれ3.4と1.3で、弱い有意性を示した。以上より、ALDH2遺伝子型と今回検討した検診所見との関連の多くの部分は、飲酒やその他の生活習慣の結果としての肥満などを介する間接的なものであることが示唆された。しかし、肝障害に関してはアルコール代謝系の機能が直接関与している可能性が否定できなかった。
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Research Products
(1 results)