1997 Fiscal Year Annual Research Report
tRNAおよびその関連蛋白に対する自己抗体の臨床的,病因的意義
Project/Area Number |
08670533
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Research Institution | KEIO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
大曽根 康夫 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20160492)
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Keywords | tRNA / 自己抗体 / リウマチ / 膠原病 / シェ-グレン症候群 / 全身性エリテマトーデス |
Research Abstract |
今年度はtRNAおよびtRNA関連蛋白に対する抗体が認識する自己抗原の構造(エピトープ)の解析を行った。 1)WS患者血清中の抗tRNA抗体はtRNAのTψC-およびD-loopにより構成される特異的3次構造(L字構造)を認識していた。 2)RNAフットプリンティング法ではこの抗体の結合部位はRNAの3'末端より10-40塩基であることが示された。 3)脱蛋白HeLaRNAを抗原に用いた免疫沈降法ではこれら41例中15例(37%)がtRNAを沈降し、抗tRNA抗体陽性と考えられた。 4)大腸菌より抽出したtRNAを抗原とする免疫沈降法では、脱蛋白したtRNAを沈降した15例中、3例(KuK、KoK、WS)が大腸菌tRNAを認識した。 5)かかる3例の抗tRNA抗体により認識されるtRNAの構造は互いに異なっていた。 6)抗tRNA抗体陽性患者15例のうち、抗PL-12抗体陽性の2例はいずれも筋炎を伴わない間質性肺炎例であった。この2例を除く13例では全身性エリテマトーデスおよびシェ-グレン症候群またはその合併例が大部分を占めた。さらに臨床症状では発熱、レイノ-現象、関節炎、白血球減少、環状紅斑が高頻度に認められたが、筋症状の頻度は少なかった。 以上の結果より、抗tRNA抗体の一部は大腸菌tRNAからヒトtRNAまで種を越えて反応することが示された。抗tRNA抗体が認識するtRNAの構造は単一ではなかったが、抗tRNA抗体がこれまで報告のない、膠原病の特定の病型または病像と関連することが示唆された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] Ohsone Y: "Clinical characteristics related to methotrexate-induced pancytopenia" Clin Rheumatol. 16. 321-323 (1997)
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[Publications] Ohosone Y: "Clinical Characteristics of Patients with Rheumatoid Arthritis and Methotrexate-induced Pneumonitis" J Rheumatol. 24. 2299-2305 (1997)
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[Publications] Ohosone Y: "Anti-transfer RNA Antibodies in Two Patients with Pulmonary Fibrosis,Raynaud's Phenomenon,and Polyarthritis." Clin Rheumatol. (in press).
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[Publications] Ohosone Y: "Spectrum and clinical significance of autoantibodies against transfer RNAs" Arthritis Rheum. (in press).
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[Publications] 大曽根康夫: "慢性関節リウマチにおけるメトトレキサート療法の副作用-とくに汎血球減少症と間質性肺炎例の背景因子に関する検討" 'リウマチ'. 37. 1623-1627 (1997)
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[Publications] 松村麻実: "リウマチ性疾患におけるトランスファーRNAに対する新しい自己抗体" リウマチ. '37. 563-556 (1997)
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[Publications] 大曽根康夫: "内科学教科書(医学書院)" アナフィラキシ-(印刷中),