1996 Fiscal Year Annual Research Report
門脈圧亢進症における循環亢進状態に関する病態解析と血管作動性物質のおよぼす影響
Project/Area Number |
08670636
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
岩尾 忠 久留米大学, 医学部, 助手 (10193715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
重森 宏敬 久留米大学, 医学部, 助手 (30268859)
豊永 純 久留米大学, 医学部, 教授 (00098881)
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Keywords | 門脈圧亢進症 / 血行動態 / 超音波ドップラー / 門脈圧 / 食道静脈瘤 / プロプラノロール / バソプレッシン |
Research Abstract |
門脈圧亢進症における上腸間膜動脈および大腿動脈血行動態:体位による変化 肝硬変症に認められる循環亢進状態の初期変化として末梢動脈の拡張が重要視されている。この末梢動脈の拡張の局在を明確にするため、内臓領域(上腸間脈動脈)と非内臓領域(大腿動脈)の血行動態を評価した.この研究では、肝硬変症患者では末梢動脈の拡張はより選択的に内臓領域に存在し、かつ、肝硬変症の重症度とも相関していることが判明した.したがって、進行肝硬変症に合併する門脈圧亢進症の成因には、肝内抵抗の上昇に加え、内臓領域の循環亢進状態も寄与しているものと推察される.さらに、立位から仰臥位に体位変換することにより、循環血漿量の増大が肝硬変症患者では異常に生じ、内臓領域の選択的な血管拡張が増幅されることを認めた.この内臓領域の血管拡張の是正が門脈圧亢進症の治療に有用か現在研究中である. 門脈側副血流量に食事が及ぼす影響 側副血流量の測定は静脈瘤の血行動態の病態生理の解析のため重要である.我々は、超音波ドプラーを用い、門脈血流量、上腸間膜動脈血流量、脾動脈血流量の測定を行い、側副血流量を上腸間膜動脈血流量と脾動脈血流量の総和と門脈血流量の差で間接的に算出した.この手法をトリプルベッセルスタデイと呼称し、食事摂取が内臓血行動態に及ぼす影響を検討したところ、上腸間膜動脈血流量の増加の結果側副血流量が増加することを観察した.よって、食事摂取は静脈瘤破裂の危険因子と考えられた.内臓血管収縮物質がこの増大を抑制するかどうか現在研究中である.
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Tadashi Iwao: "Effect of vasopressin on esophageal varices blood flow in patients with cirrhosis" Journal of Hepatology. 25. 491-497 (1996)
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[Publications] Tadashi Iwao: "Hepatic arterial hemodynamic responsiveness to altered portal blood flow in healthy and cirrhotic livers" Radiology. 200. 793-798 (1996)
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[Publications] Tadashi Iwao: "Postprandial splanchnic hemodynamic response in patients with cirrhosis of the liver" Radiology. 201. 711-715 (1996)