1998 Fiscal Year Annual Research Report
門脈圧亢進症における循環亢進状態に関する病態解析と血管作動性物質のおよぼす影響
Project/Area Number |
08670636
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
岩尾 忠 久留米大学, 医学部, 講師 (10193715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
豊永 純 久留米大学, 医学部, 教授 (00098881)
中野 良一 久留米大学, 医学部, 助手 (50289419)
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Keywords | 門脈圧亢進症 / 肝硬変症 / 血行動態 / 食道静脈瘤 / 超音波ドプラー / 日内リズム / プロプラノロール / ナトリウム利尿ホルモン |
Research Abstract |
肝硬変における循環元進動態の病態解析 内臓一腎相関:肝硬変患者および健常者において、食事刺激で惹起された上腸間膜動脈の抵抗低下に伴い腎動脈の抵抗の増加が認められた。また、これらの変化の間には良好な相関があった。以上のことは、肝硬変患者(特に肝腎症候群)に認められる腎血管収縮は内臓循環のアンダーフィリングに対する一種の腎臓の恒常性反応であるという仮説を支持するものであり、同時に、肝腎症候群の治療における内臓血管収縮の有用性を間接的に示唆するものである(Gut in press)。体位変換や食事との関連:我々はすでに、肝硬変患者において、立位から仰臥位への体位変換や食事摂取により、内臓領域の循環元進状態が増悪し、側副血流量が増大することを報告した.今回、逆に仰臥位から立位へ体位変換し、食道静脈瘤血流が低下することを観察した(J Hepatol1998:28:447-53)。さらに、仰臥位から立位への体位変換は食事摂取後の内臓領域の循環亢進状態を緩和し、側副血流量の増大にも抑制的に作用することを示した(J Gastroenterol in press)。水分ならびにナトリウム代謝の日内変動:肝硬変では腎において水分ならびにナトリウムが蓄積傾向を示すことが知られている。これらの体液量調節には心房性ナトリウム利尿ホルモン(ANP)が深く関わっているが、ANPならびにその信号伝達物質であるCGMPの口内リズムは夜間にピークがあることを観察した(未発表データ)。このことは、夜間には体液量増加が生じている可能性を示唆するものであり、静脈瘤出血は夜間に多い疫学的事実を一部説明できるかも知れない。 門脈圧亢進症における血管作動性物質の影響 フロフラノロールの門脈圧低下作用には個人差がある。よって、反応性を確認するためには侵襲的な門脈圧測定の反復が必要であったが、今回、超音波ドプラー法で非侵襲的に上腸間膜動脈の抵抗指数を測定することにより予測しうろことを示した(J Hepatol 1998;28:847-55)。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Tadashi Iwao: "Upright posture decreases esophageal varices flow velocity in patients with cirrhosis." Journal of Hepatology. 28(3). 447-453 (1998)
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[Publications] Tadashi Iwao: "Noninvasive hemodynamic measurements of superior mesenteric artery in the prediction of portal pressure response to propranolol." Journal of Hepatology. 28(5). 847-855 (1998)
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[Publications] Tadashi Iwao: "Effect of meal-induced splanchnic arterial vasodilatation on renal arterial hemodynamics in normal subjects and patients with cirrhosis" Gut. in press. (1998)
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[Publications] Tadashi Iwao: "Upright posture blunts postprandial splanchnic hyperemia in patients with cirrhosis and portal hypertension" Journal of Gastroentrology. in press. (1998)